相田信男著

実践・精神分析的精神療法
個人療法そして集団療法

A5判 260頁 定価(本体3,800円+税) 2006年9月刊


ISBN978-4-7724-0935-3

 本書は,精神分析的個人精神療法,そして精神分析的視点に立つ集団精神療法と,実践領域を広げてきた著者の臨床経験報告を中心に編まれたものである。
 第1部にはフェアベーンの紹介やスーパーヴィジョン,スキゾイドについてなど,著者の治療の基礎となっている個人精神療法領域の論文が,第2部には精神科病院というフィールドならではの視点から書かれた論文が集められている。そして,集団精神療法を構造化しその文化を根付かせていく過程,スタッフがチームとして臨床活動を行ううちに病棟というグループが“心理学的”になっていく様子が描かれている第3部は,「グループは信じられる」と語る著者の言葉を裏打ちしており,圧倒的な力をもって読者に迫る。
 誠実に重ねられてきた実践の報告から,「人は学び,必ず育てられる。臨床活動(それ自体)という訓練が,人を変え,人を育てる」という,著者の信じるところが伝わってくる。それは,日々の臨床に真正面から取り組み試行錯誤する実践家たちへの力強い励ましとなるだろう。

おもな目次

    第1部 精神分析的精神療法―治療の基礎となるもの―

      第1章 ひきこもりと抵抗
      第2章 フェアベーンの考え方とその影響
      第3章 スキゾイド
      第4章 精神力動的個人精神療法の始め方・構造化
      第5章 スーパーヴィジョンの終結をめぐって
      第6章 サイコセラピーと集団精神療法
      エッセイ・1 ロナルド・D・レイン

    第2部 精神科病院というフィールドで

      第7章 アソビのある容れ物としての病棟―精神科病院における治療構造化過程―
      第8章 システムとしての病院
      第9章 精神「障害」者をもった家族の問題
      第10章 夫婦療法覚書―カウチもコーチも―
      第11章 「ぼくたちの失敗」考
      第12章 入院病棟における精神療法的アプローチ
      エッセイ・2 いじめ

    第3部 集団精神療法―グループをめぐる体験―

      第13章 グループの始め方・続け方
      第14章 統合失調症患者の大グループの特徴
      第15章 レヴュー・ミーティングと私たち―変化と評価をめぐって―
      第16章 コミュニティ・ミーティングにおけるリーダーシップ―治療共同体へのアプローチをめざして―
      第17章 集団精神療法の効き目と落とし穴―集団は信じられるか―
      第18章 病院の中にグループがあるということ―その利点と注意点―
      エッセイ・3 治療構造論的認識をめぐって

    第4部 個人精神療法から集団精神療法へ

      第19章 〈対談〉小此木啓吾・相田信男―集団は信じられるか:フロイトの集団論をめぐって―