キャンベル・パートン著/日笠摩子訳

パーソン・センタード・セラピー
フォーカシング指向の観点から

A5判 276頁 定価(本体3,800円+税) 2006年9月刊


ISBN978-4-7724-0936-0

 カール・ロジャーズが創始したクライエント中心療法はさまざまな虚飾を外され,晩年のロジャーズ自身によってパーソン・センタード・アプローチとして確立された。人間を中心に据えるその思想は,多くのセラピー学派が生まれてもなお,心理療法の発展や心理療法家の生き方に多大な影響を与えている。本書は,ロジャーズのなしえた仕事と,彼の近しい同僚でフォーカシングを生んだユージン・ジェンドリンの業績を核にして,パーソン・センタード・セラピーの歴史と現在を俯瞰しつつ,心理療法の“基礎なるもの”を探った知的で刺激的な臨床研究書である。
 40年にわたるフォーカシング研究と並行して,ジェンドリンは,パーソン・センタード・セラピーに関する独自な観点を発展させてきた。その臨床哲学には,「体験過程理論」「暗黙」「フェルトセンス」などフォーカシングになじみのないものでも理解し実践に活用できる広さがある。そんなジェンドリンがロジャーズから生み出したものを,さらに拡張し再構成化した本書は,学派を問わず多くの臨床家の考えと実践に多くの影響を与えるだろう。
 本書は,パーソン・センタード・セラピーを学ぶものにとってはもちろん,共感や傾聴といったセラピーの基本姿勢に共感する臨床家にとっても必読文献である。

おもな目次

    序 論
    1 ロジャーズとパーソン・センタード・セラピーの発展

      ロジャーズの仕事
      PCTの発展のいくつかの道筋
      標準的な見方
      統合主義者たち
      プロセス体験主義者
      「純正主義者」
      友田
      レニー

    2 パーソン・センタード理論の欠陥

      農業の比喩
      「自分でいること」と「社会的拘束」
      必要/十分論争
      心理的混乱と価値の条件
      指示性
      一致とは何か
      クライエント・センタードの応答
      うまく機能している人間としてのカウンセラー
      主なアプローチの効果に差がないこと

    3 フォーカシングの起源

    4 教えられる手続きとしてのフォーカシング

      教えられる手続きとしてのフォーカシング

    5 フォーカシング指向心理療法

      クライエントが自分の体験過程と関わるための援助
      体験過程と関わる上での困難
      クライエントの傷つきやすさと「脆弱なプロセス」
      「近すぎる」プロセスと「遠すぎる」プロセス
      クライエント−セラピスト関係の困難
      内なる批評家
      分割された体験過程
      抑圧された体験過程
      省略された体験過程
      誤って解釈された体験過程
      極端な構造拘束的体験
      治療の道筋
      イメージとの取り組み
      情動との取り組み
      思考との取り組み
      行動との取り組み
      対人的相互作用との取り組み
      集団での取り組み
      からだとの取り組み

    6 反論:原則的問題と実証的問題

      原則的問題
      実証的問題

    7 心理療法の理論に向けて

      暗黙のもの(…)
      含意と進展
      相互影響(「まず相互作用ありき」)
      有機体と環境
      生命のレベル
      心理療法
      パーソン・センタード概念再考
      結論

    付録A より広い文脈

      倫理と価値
      社会的政治的意味
      芸術的創造性
      創造的思考
      生物学
      動物行動研究
      医療
      教育
      時間と空間
      物理学
      哲学
      霊性sprituality

    付録B 関連情報源

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