福井康之著

青年期の対人恐怖
自己試練の苦悩から人格成熟へ

A5判 256頁 定価(本体3,600円+税) 2007年1月刊


ISBN978-4-7724-0946-9

 対人恐怖は,青年期発達臨床の中核像といえる。
 本書は,対人恐怖の臨床研究を通じて現代青年の発達の諸相を照らし出し,「青年期発達臨床学」樹立を目指した労作である。
 著者は,対人恐怖を単に青年期におけるノイローゼの症状とみるのではなく,対人関係の危機の一つとして,将来の成長のために自己が直面する試練と捉え,自己を人格成熟へ向けて再構築するための一過性の様態としてその発達の方向を模索するという,今まで取り組まれてこなかった対人恐怖の「自己論」からのアプローチを試みている。
 全編にわたり多くの文献を参照し,事例を挿入するなど,対人恐怖の類型・心理機制がわかりやすく解説される。特に,父性の弱体化による現代青年の発達の遅延からくる「エディプス・コンプレックス形成不全」説をペルセウスのメドゥサ退治の神話と結合し,対人恐怖形成のメカニズムと克服の方策を解明した著者独自の「メドゥサ・コンプレックス説」や,新たな軽症対人恐怖である「ふれあい恐怖」や「外見恐怖」について,女子高校生・女子大学生への調査結果の分析を通じて知見が提出されている。
 青年期の心の臨床に携わるすべての専門職に多くの示唆を与えるであろう。

おもな目次

    序章 青年期の対人関係の危機
    第1章 対人恐怖について
    第2章 対人恐怖の分類と類型
    第3章 対人恐怖の心理機制
    第4章 自己と対人恐怖
    第5章 対人恐怖から自己実現へ
    第6章 新しい対人恐怖の登場とそれを含めた対人恐怖の分類
    第7章 対人接触恐怖と外見評価恐怖