訳者あとがき

 私たち訳者3名はちょうど同じ時期に,ロンドン大学精神医学研究所摂食障害ユニットに留学し,モーズレイ病院とべスレム王立病院において,本書の著者であるウルリケ・シュミット先生とジャネット・トレジャー先生のもとで摂食障害の臨床について勉強する機会を得ました。
 モーズレイ病院摂食障害外来では,トレジャー先生が執筆された“Anorexia nervosa: A survival guide for families, friends, and sufferers”と,シュミット先生とトレジャー先生の共著である本書“Getting better bit(e) by bit(e): A survival kit for sufferers of bulimia nervosa and binge eating disorders”の2冊の本が摂食障害の患者さんとその家族,援助者のためのテキストとして長く使用されてきました。前者は2000年に金剛出版から『拒食症サバイバルガイド―家族,援助者,そしてあなた自身のために』の邦題で出版されています。後者は,現在もモーズレイ病院で,初回のアセスメント面接後に過食症と診断された患者さんに対して自習用のテキストとして手渡されています。モーズレイ病院では摂食障害の患者さんに対して,動機づけ面接の技術をベースにして,主として認知行動療法による治療が広く行われています。本書は動機づけを高めるための課題を多く取り入れながら,認知行動療法の理論に基づいたアプローチ法を用いて,わかりやすい言葉で書かれています。そのため,本書を読まれる患者さん,家族,援助者の皆さんにとって,過食症治療のエッセンスを理解するのにとても役立つでしょう。
……(後略)

2006年7月盛夏 ロンドンにて  訳  者