鶴 光代著

臨床動作法への招待

A5判 240頁 定価(本体3,200円+税) 2007年3月刊


ISBN978-4-7724-0959-9

 本書は,心身症や統合失調症などの援助に広がりを見せている心理療法「臨床動作法」の入門書です。
 臨床動作法は,催眠下において肢体不自由な脳性まひの子どもが動けるようになったことから始まった心理療法で,九州大学名誉教授成瀬悟策氏らが開発したものです。著者は,長年にわたり,成瀬氏の臨床・研究をサポートするかたわら,統合失調症や神経症,不定愁訴,不登校などの心的援助と臨床動作法の研究・実践を続けてきました。
 本書はそんな著者が培ってきた知見をじっくりと実らせたもので,わかりやすいイラストや写真,多彩な事例をもとに,なぜそうした「奇跡」が起きるのかを具体的に解説・解明していきます。臨床動作法に興味のある初学者から,すでに実際に行われている方まで,多くのヒントが隠されています。

おもな目次

      本書推薦のことば 成瀬悟策

    第1章――臨床動作法における動作の視点

      はじめに―臨床動作法は何を目指すのか
      導入期のクライエントの体験
      体験様式としての問題の捉え方

    第2章――ないものをあると感じる非現実体験への援助

      臨床動作法に関心を抱くクライエントととまどうクライエント
      セラピストが関心を引かれるクライエントの動作
      自己肯定の体験
      現実的体験,現実検討の体験
      体験様式への援助の実際

    第3章――緊張を自己処理することの意味

      からだの感じがわからないクライエント
      自己処理と自己回復
      強い緊張の自己処理
      完全弛緩の自己処理

    第4章――統合失調症のひとへの臨床動作法(1)

      動作から見えてきた統合失調症のひとの特徴
      臨床動作法をはじめて適用してみて
      臨床動作法による幻聴,妄想の変容
      妄想・幻聴と現実的対処

    第5章――統合失調症のひとへの臨床動作法(2)

      体験様式の変化を目指して
      事例
      考察

    第6章――自分を活かしていくための緊張

      必要な緊張を生み出す援助
      「基礎がしっかりした」という不登校児の緊張体験
      まとめ――自分を活かしていく体験

    第7章――臨床動作法による不登校中学生への成長援助

      不登校の子どもへの援助と体験様式
      問題と援助仮説
      経過
      まとめ

    第8章――脳性まひ児の心理療法

      脳性まひ児の障害と自己成長
      脳性まひ児の心理的問題
      脳性まひ児の心理療法の特徴
      動作療法の実際

    第9章――すんなりと楽に立てるように

      動作現況
      動作訓練計画
      動作訓練の経過
      考察

    第10章――臨床動作法の誕生

      脳性まひのひとへの催眠法適用
      催眠下での訓練法の開発
      動作訓練法の展開
      自閉や多動の子どもへの動作訓練の適用
      「動作法」という概念の創出
      心理療法としての動作法
      実験動作法と臨床動作法

    第11章――仮説は,不思議な信じがたいケース展開から生まれる

    第12章――臨床動作法の学び方とメンタル・ヘルス

    臨床動作法研修風景
      リラクセーション課題の体験
      自体感を通して自己感を体験
      メンタル・ヘルス

    第13章――動作課題への援助の仕方

      ‘伴う体験’の重要性とその基本となる動作援助
      動作課題における基本姿勢
      肩上げ動作課題
      肩開き動作課題
      あぐら坐位での腰弛め動作課題
      タテに坐り,自体軸をつくり・動かす課題
      側臥位での躯幹のひねり動作課題
      イス坐位での躯幹のひねり動作課題
      膝立ち動作課題
      片膝立ち動作課題
      立位での腰・膝・足首屈げ動作課題
      立位での左右腰弛め動作課題
      前傾立位動作課題
      歩行動作課題
      立位バランスどり動作課題
      臨床動作法における留意点