廣井亮一著

司法臨床の方法

A5判 200頁 定価(本体2,800円+税) 2007年5月刊


ISBN978-4-7724-0969-8

 「司法臨床」とは,二重規準として乖離しがちな司法と臨床を架橋しながら問題解決をはかる,より高次のアプローチである。
 さしのべられた援助を権力による強制と見なし,抵抗する非行少年。話し合いの場である調停を訴え−訴えられる裁判ととらえ,非を責め合う家事調停当事者。本書は司法と臨床の交差領域で実践する家庭裁判所調査官の経験から生まれた。
 司法と臨床の枠組みの差異を整理したうえで,少年非行,児童虐待,離婚など,規範的な判断と人間の全体性,関係性の回復が同時に必要な問題の解決への道を,システム論をはじめとする臨床技法と著者の経験を基にした現場の実践知から考察。豊富な事例を交えながら,司法機関・福祉機関の実務家,心理臨床家,学校教師など,法と臨床を横断する支援とコラボレーションが求められる専門職のための,新たな方法規準を提示する。
 「司法臨床の方法」は家庭裁判所に留まらず,子どもと家族を援助するあらゆるフィールドでの実践に多くの手がかりを提供するだろう。

おもな目次

    第1部 司法臨床の概念

      第1章 司法臨床の特質
        Ⅰ 司法臨床の系譜
        Ⅱ 法の枠組み
        Ⅲ 臨床の枠組み
        Ⅳ 司法臨床の枠組み
      第2章 司法臨床のアプローチ
        Ⅰ 司法臨床の問題解決システム
        Ⅱ 司法のコラボレーション
        Ⅲ 司法臨床家の役割

    第2部 少年非行へのアプローチ―非行臨床

      第3章 非行臨床の特質
        Ⅰ 非行臨床の類型
        Ⅱ 非行理解と認識論
      第4章 非行臨床における権威とオーディール
        Ⅰ 非行臨床における権威と権力
        Ⅱ 非行臨床におけるオーディール
      第5章 システム論による非行臨床の実際
        Ⅰ システム論の基本的視点
        Ⅱ 非行臨床とシステムズ・アプローチ
      第6章 現代型非行への対応の要点―現代青少年の攻撃性の観点から
        Ⅰ 佐世保小6事件にみる現代の非行少年
        Ⅱ 現代型非行の特徴
        Ⅲ 現代型非行と児童虐待
        Ⅳ 攻撃性からみた現代型非行
        Ⅴ 非行少年のウェルビーイング

    第3部 家族紛争へのアプローチ―家族臨床

      第7章 家族臨床の特質
        Ⅰ 家族紛争の種類―家事事件を基に
        Ⅱ 家族紛争の二面性
        Ⅲ 問題解決のための二重性
      第8章 家族紛争とメタファー
        Ⅰ 問題枠
        Ⅱ 家族紛争の解決の要点
        Ⅲ 解決枠
        Ⅳ メタファーの意味と機能
        Ⅴ 司法臨床におけるメタファー
        Ⅵ 「もの」化する法のメタファー
      第9章 家族臨床としての「離婚」と「子ども」
        Ⅰ 離婚調停と子どもの事件
        Ⅱ 離婚紛争へのアプローチ
      第10章 司法臨床における児童虐待へのアプローチ
        Ⅰ 法28条事件の問題解決システム
        Ⅱ 児童虐待へのアプローチ
        Ⅲ 家族を支える仕組みの必要性