下坂幸三著(中村伸一・黒田章史編)

フロイト再読

A5判 260頁 定価(本体4,000円+税) 2007年5月刊


ISBN978-4-7724-0971-1

 本書は,雑誌「精神療法」誌上にて連載中から評判の高かった「フロイト再読」を中心に編まれた,著者最後の論文集である。
 変容する現代社会に生きる患者のもつ難しさ――慢性の空虚感,徹底した他者指向,内省の乏しさ,平凡嫌い等々――に対し,著者はフロイトそして東洋思想といった古典から学び,その英知を生かした独自の「常識的家族面接」で応じた。
 本書では,晩年の著者が到達したこの心理面接の「作法」と,その考え方に至る道筋を辿ることができる。
 初心者からベテランまで,すべての治療者にとって,日々の面接の指針たりうる知恵に溢れた,まさに温故知新という言葉がぴったりの一冊である。

おもな目次

    第一部 フロイト再読――技法論を中心に――

      第一章 まえおき――再読の方法について――
      第二章 「医師に対する分析治療上の助言」について
      第三章 「医師に対する分析治療上の助言」について・続き
      第四章 「分析治療の開始」について
      第五章 「想い起すこと,繰り返すこと,やり通すこと」について
      第六章 「想い起すこと,繰り返すこと,やり通すこと」について・続き

    第二部 常識的家族面接を説き明かす

      第一章 説き明かし・常識的家族面接
      第二章 心理療法家の心構えと『論語』の教え
      ◆エッセイ◆ 心理療法としつけ

    第三部 変容する社会と心理療法

      第一章 現代女性の位置と摂食障害
      第二章 社会変容と心理療法
      第三章 心的外傷理論の拡大化に反対する
      第四章 昨今の青少年犯罪と境界例の構造
      第五章 こんにちにおける家族面接の意義
      第六章 心理療法の補助としての電話
      ◆エッセイ◆ 症例報告にさいして患者の許可を得ることについて
      終章 葬られた思想家 橋田邦彦