シャーリー・ライリー著/鈴木 恵・菊池安希子監訳

ファミリー・アートセラピー

A5判 220頁 図版76 定価(本体3,800円+税) 2007年7月刊


ISBN978-4-7724-0977-3

 わが国においてアートセラピーは,絵画解釈に興味の中心が置かれがちだが,人間の思いを変化させていく道具としてのアートは,とりわけそれが家族関係を対象とした心理面接に取り入れられて家族療法と統合されたとき,極めて強力な力を発揮する。
 アート作品を作る過程では,それが創造と破壊の連鎖であることから変化は必然的に起こり,家族関係の新しい形も抵抗をもたれることなくアート作品の中に自然と疑似体験される。その結果症状や問題となっていたことが問題ではなくなったり,今後の変化が現実に先行して表現されるといったアート自体の特徴がもたらすダイナミックな過程を,本書に収められたさまざまな事例と数多くのアート作品が如実に示している。
 アートを使うことによって,言語だけでは到底不可能な対象にアプローチでき,安全で効率的かつセラピストに力を与えてくれるファミリー・アートセラピーの世界を,理論面から検討するとともに実践の多様なあり方を具体的に示した本書は,心理臨床の現場に新しい可能性を開いてくれるだろう。

おもな目次

    第Ⅰ部 理論と実践の統合

      第1章 家族が描く家族の物語:家族の現実を見るレンズとしてのアートセラピー
      第2章 クライエントが症状の非・解決を選択することを通じて回復を援助する
      第3章 言語化:アートセラピー治療における言語的要素に関する考察
      第4章 機能不全家族への解決としての統合失調症:治療に構造的アプローチを用いて
      第5章 逆説を描いてくださいますか?……:変化にシステミック・アプローチを利用したファミリー・アートサイコセラピー
      第6章 個人アートセラピーの戦略的家族システム論的アプローチ
      第7章 夫婦療法/アートセラピー:戦略的介入と原家族への対応

    第Ⅱ部 特定の問題の治療

      第8章 多家族グループ・アートセラピー:障害者を持つ家族に対する治療
      第9章 青年期とファミリー・アートセラピー:「青年期の家族」をファミリー・アートセラピーで治療する
      第10章 ドメスティック・バイオレンスの経験を持つ家族に対するアートセラピー
      第11章 外来におけるアートセラピーの利点