ロバート・A・ニーマイアー編/富田拓郎,菊池安希子監訳

喪失と悲嘆の心理療法
構成主義からみた意味の探究

A5判 340頁 定価(本体4,800円+税) 2007年8月刊


ISBN978-4-7724-0980-3

 死別,離婚,失業,自然災害,レイプ,身体疾患,等,「悲しみに期限などない。しかし,悲しむこととは,喪失によって揺らいだ意味世界の再確認,あるいは再構成を必然的にもたらす」。本書は,愛する人を失った人への心理的援助(グリーフ・カウンセリング)について,構成主義とナラティヴ・セラピーの知見を取り入れ,さらに社会心理学的概念を援用しながら包括的かつ実践的に述べたものである。人が喪失に遭遇したときに意味を作り出す,という構成主義的な視点から,フロイトの悲哀モデルの考察に始まり,悲嘆の果たす効果,虐待とトラウマの関係,二次的外傷性ストレスなど,死別に苦しむ人々の臨床課題が詳述されている。
 死別,喪失,悲嘆といった問題にかかわる心の専門家,愛する人を失った後の人生の変遷に向き合う遺族を支援する臨床心理士,カウンセラー,ソーシャルワーカー,緩和ケアやホスピスの専門職の人々が現場で使うことのできる臨床書である。

おもな目次

      序 論 意味の再構成と喪失

    第Ⅰ部 地盤を壊す:新たな悲嘆理論に向けて

      第1章 脱カテクシスを超えて:悲嘆の新しい精神分析的理解と治療へ
      第2章 世界を学びなおす:意味を作り出し,見出す
      第3章 死別体験へのコーピング(対処)の二重過程モデルから見た意味の構成

    第Ⅱ部 関係性を再び確立する:文脈とつながり

      第4章 遺された親の精神的,社会的ナラティヴに見られる亡き子どもの内的表象
      第5章 発達障害のある子どもの死

    第Ⅲ部 トラウマを超える:喪失後の成長

      第6章 トラウマ後の成長:喪失から学べる前向きなこと
      第7章 パートナーがエイズで亡くなった後に支えとなったスピリチュアルな力
      第8章 愛する人を失った後の成長

    第Ⅳ部 ストーリーを癒す:研究と内省

      第9章 打ち砕かれた信念:トラウマカウンセラーという自己の再構成
      第10章 記憶を抱きしめる:喪失と希望のアカウントの構成
      第11章 セラピーとしての研究:変化に効果をもたらすナラティヴの力

    第Ⅴ部 この世界と再び交渉する:悲嘆療法で意味を作り出す

      第12章 死別の言葉:意味を再構成する一つのプロセスとしての悲嘆療法
      第13章 ストレスを構成する:PTSDに対する構成主義の治療アプローチ
      第14章 ビデオ録画法:末期疾患患者の人生の再ストーリー化