序   文

 この本は,医学が,エビデンスに基づく方向へと向かいつつあるなか,医療専門家のニーズに応えるために書かれた。この本を書こうという考えは,医学文献を解釈するのが難しいという大学院生との議論から生まれた。彼らのニーズは,批判的吟味の基準を説明した薄い本があれば満たされるということがすぐに明らかとなった。
 この本は,前半・後半部からなっている。最初の5章は,論文をいかに読むべきか,結果をいかに解釈すべきかを述べて,批判的吟味への導入を図る。経験を積んだ研究者は,これらの章を読む必要はない。残りの6章は,批判的吟味のための,注釈付きのチェックリストを提供する。最初の,第6章は,用いられている研究手法に関わらず,どんな研究についても尋ねるべき,一般的な問いを示す。第7章以下の章は,研究手法ごとに,個々の研究手法に特有の問いを説明する。読者の便を図るため,これらの章の最後には,第6章に示す一般的な問いと,各章の研究手法に特有な問いを合わせたチェックリストを示す。
 この本は,簡単に使えるように書かれている。可能な限り専門用語を避け,評価の基準について説明はするものの正当化したりはしない。一つ一つのチェックリストについて,相応の説明をするには,より大部で手に入りにくい書物が必要となる。この本を,ポケット・ガイドのサイズにするために,質的研究,医療経済学,診療評価,決定分析,スクリーニング・テストといった,評価にまつわるその他のトピックは扱わなかった。こうした項目を含めるべきだともいえるが,すべての項目を含めてしまうと厚さが2倍になってしまう。この本に載せたチェックリストが有用であることを期待している。