松木邦裕・賀来博光編

精神分析臨床シリーズ
抑うつの精神分析的アプローチ
病理の理解と心理療法による援助の実際

A5判 250頁 定価(本体3,600円+税) 2007年9月刊


ISBN978-4-7724-0989-6

今日の精神科医療,心理療法の現場では,単に「うつ病」と括れないような,「おちこんでいる」,「気分が重い」,「意欲が湧かない」といった「抑うつ感」と総称される症状を訴える「抗うつ薬のきかない患者」が増えており,抑うつ臨床における心理療法にも新たな役割が必要とされている。
本書では,「うつ病」と診断されうる病態は「抑うつ」の一部にすぎないことを明らかにし,真に「抑うつ」というこころの状態への対象関係論的な理解と治療を示す。まず「抑うつ」の精神分析的理解にはじまり,続いて詳細な臨床例を盛り込んだ5つの論文を通して,「抑うつ」から生じるさまざまな症状,そしてその背景にあるさまざまなこころの葛藤が理解される。
また読み進むにつれて,治療者と患者のやりとりのみでなく,周りのスタッフも交えた心理療法を実践していくための環境づくりについても多くの着想が得られるだろう。
『摂食障害の精神分析的アプローチ』に続いて,医師,心理士,看護師といったさまざまな立場からのアプローチとその連携についても触れた,抑うつ臨床における心理療法の可能性を拓く臨床ガイドである。

おもな目次

      はじめに―なぜ「うつ病」ではなく,「抑うつ」なのか―

    第1部 視点

      総説 「抑うつ」についての理論

    第2部 治療の実際

      第1章 懲罰の恐怖と罪悪感―「罰が当たる」と怯える青年期女性での信仰と抑うつ―
      第2章 抑うつと二重の喪失体験―罪悪感・エディプス葛藤・性徴不全―
      第3章 悲しみをこころに置いておけないこと―抑うつ状態についての覚書―
      第4章 あるヒステリーにみる抑うつ
      第5章 迫害的な抑うつ,あるいは抑うつによる迫害―パーソナリティの病理構造体の働きとの関連から―
      第6章 躁うつ病における同一化の交代―躁うつ病の精神分析的心理療法―

    第3部 コンテイニング

      第7章 mourning workを抱える環境のマネージメント―管理医の役割―
      第8章 抑うつ状態の看護―患者を抱える環境として,援助する人として―
      終 章 抑うつの研究史―精神分析的アプローチの役割をめぐって―

      解 題