ジェローム・D・フランク,ジュリア・B・フランク著/杉原保史訳

説得と治療:心理療法の共通要因

A5判 380頁 定価(本体5,400円+税) 2007年9月刊


ISBN978-4-7724-0991-9

 心理療法の営みは,時代を超えて普遍的なものであると同時に,常に発展している。本書は,これほど多様な心理療法の学派のいずれもが効果的である理由は何なのか,すなわち心理療法が共有する有効成分は何なのかという,心理療法における永遠のテーマを扱った労作である。現代の主要な心理療法のみならず,シャーマニズム,聖地への巡礼,信仰復興運動,カルトによるマインド・コントロール,思想改造,プラシーボ投与など,幅広い範囲の治療的・説得的活動が検討される。
 著者は,このように大きなスケールで心理療法を捉え,それらに共有される共通の治療要因を探究していく。その上で,心理療法実践への示唆として,治療者は学派にこだわらず,患者のパーソナリティや価値観や期待に合わせて,どのような技法でも用いるべきだと述べている。
 本書は近年注目を集める「心理療法の統合」を導いてきた重要な著作でもある。本書においては,心理的プロセスと身体的プロセスの相互作用にも相当の注意が払われており,身体疾患に対する心理的な治療についても多くの紙数を割いて考察されている。さらに,心理療法は科学よりもレトリックに近縁のものであるという見方が提示され,その斬新な心理療法観はこの領域に重要な議論を刺激するものとなっている。英語圏で版を重ねる名著の待望の邦訳。

おもな目次

    序 文(ノーマン・カズンズ)
    第1章 現代アメリカにおける心理療法
    第2章 心理療法についての概念的枠組み
    第3章 意味の変容としての心理療法
    第4章 信仰復興運動とカルト
    第5章 身体的な病に対する宗教魔術的な治療
    第6章 心理療法における心と身体
    第7章 医療と心理療法におけるプラシーボ反応と期待の役割
    第8章 心理療法家と患者
    第9章 喚起的個人心理療法
    第10章 指示的な個人心理療法
    第11章 グループ療法と家族療法
    第12章 統制された環境における心理療法
    エピローグ 本書の知的な歴史をめぐる個人的省察