岩壁 茂著

心理療法・失敗例の臨床研究
その予防と治療関係の立て直し方

A5判 284頁 定価(本体4,000円+税) 2007年9月刊


ISBN978-4-7724-0995-7

 この本は,心理療法の失敗と,その後の治療関係の立て直しについて,実践と理論の両面から検討された臨床・研究成果をまとめたオリジナリティ溢れる一書である。
 心理療法は失敗する。多少にかかわらず,方法を誤っていたり,要望を汲み取れなかったり,何気ないコメントが小さなトゲのようにクライエントを傷つけてしまったりし,二人のあいだに誤解が生まれてゆく。そのままだと,やがては,セラピストとクライエントの関係が壊れてしまうことにもなりかねない。多くの臨床家は,そうした経験を一度でもすることだろう。
 本書は,そうしたさまざまな失敗について,その原因と回避,失敗に陥った後の解決法などを考えたものであり,セラピーの場で人と人が出会うということへの深い思索と,心理療法に対する新たな世界観の提言に,読者は勇気づけられるはずである。そして,心理療法の底流となる「基本となるもの」に気づかされるに違いない。
 心理療法の世界は,新しい時代に入ろうとしており,本書はその道標となるものである。学派を超えて,多くの読者に読んでもらいたい一冊である。

おもな目次

    第1部 治療的失敗の理解の基礎

      第1章 心理療法と失敗
      第2章 治療的失敗の効果研究とプロセス研究

    第2部 失敗の分類とその事例

      第3章 セラピストの欲求
      第4章 セラピストとクライエントの恥の感情
      第5章 ミスマッチ
      第6章 原初的傷つきやすさ

    第3部 失敗への対処とセルフケア

      第7章 治療的失敗を防ぎ,失敗から学ぶ