ケイティ・エバンズ,J・マイケル・サリバン著/斎藤 学監訳/白根伊登恵訳

虐待サバイバーとアディクション

A5判 250頁 定価(本体3,600円+税) 2007年11月刊


ISBN978-4-7724-1002-1

 虐待のサバイバーは物質依存の問題をともないやすく,それがまた新たなトラウマを招く。アルコールや薬物の問題をあわせもつクライアントの治療には,嗜癖の否認と再燃に立ち向かいつつ虐待からの回復を支えるバランス感覚が求められる。長年の経験から著者たちが創り上げたのは,柔軟な心理療法とAA(Alcoholics Anonymous)の12ステップ・プログラムを結合し,双方の問題からの回復を包括的に援助する二重診断治療プログラムである。
 本書は危機・技能構築・教育・統合・維持の段階を経る汎用的な治療・回復モデルに加え,抑うつ,怒り,そして解離するサバイバーへの対応,思春期のための治療戦略,家族支援についても詳述し,何よりも安全第一に治療をすすめるためのヒントが満載されている。
 また虐待と嗜癖行動,およびさまざまな精神障害を貫く大胆な理論に基づいて臨床研究が整理され,アディクションとトラウマをめぐる諸問題が精神医学・心理臨床に与えたインパクトに全体的な見取り図を与えてくれるだろう。サバイバーでもある著者たちの暖かいまなざしが随所に感じられる本書は,実用的なプログラムを求める臨床家はもちろんのこと,虐待とアディクションの問題に取り組むあらゆる実践家の助けとなるはずである。

おもな目次

    はじめに
    第1章 治療哲学
    第2章 レイチェルの物語
    第3章 虐待の影響と過程
    第4章 アディクションとサバイバー
    第5章 二重回復のモデルと危機段階での介入
    第6章 第2段階以降での介入
    第7章 抑うつ,怒り,解離
    第8章 嗜癖のある思春期のサバイバー
    第9章 嗜癖のあるサバイバーと家族,職場,治療グループ
    おわりに―竜は死に子どもは生きる