小出浩之ほか著/小出浩之教授退官記念論文集編集委員会(代表 高岡 健)編

精神病理学の蒼穹

A5判 206頁 定価(本体4,200円+税) 2008年3月刊


ISBN978-4-7724-1012-0

 本書は「具体的な個々の現象の中に普遍的・一般的なものを発見し,逆に普遍的・一般的なものから具体的・個別的なものを思い浮かべる能力」を磨き,臨床精神医学そのものである精神病理学を個々人のものの見方に即して創り上げ,診断,治療に活かしていく手がかりを縦横に語った小出浩之教授の講義を軸に,精神病理学の可能性を著者一人ひとりが追求した各論を併せ,精神病理学の現在を示す論集である。
 人間の心を対象とする精神医学があたかも脳の科学であるかのように見なされる逆風の中,DSMに代表される生物学的・計量的精神医学の趨勢において,その名の通り精神病理学を中核とする臨床精神医学教室として実績を重ねてきた岐阜大学医学部精神病理学分野の,臨床研究のひろがりと到達点。

おもな目次

    第1部 精神病理学講義

      第1章 精神病理学入門:小出浩之
      第2章 続・精神病理学入門:治療編:小出浩之

    第2部 精神病理学のひろがり

      第1章 診断論ノート:高岡 健
      第2章 集団の精神病理学:ビオンからフークスまで:西尾彰泰
      第3章 語りの視点から見たロールシャッハ状況:統合失調症者のプロトコルから:伊藤宗親
      第4章 気分障害と記憶,欲動:野嵜 理/植木啓文
      第5章 職域の問題において臨床精神医学が果たす役割:「ストレス−脆弱性」モデルの観点から:植木啓文
      第6章 退行させる治療と退行させない治療:柴田明彦
      第7章 人格障害の反復自傷と医師の応召義務:深尾 琢
      第8章 オタク的こだわりを介した精神療法過程における考察:関 正樹
      第9章 思春期妄想症2例:生活状況改善のために:藤垣麻衣子
      第10章 認知症患者の時間と世界:高田知二
      第11章 高橋新吉:ダダイズムと禅・精神病:林 美朗

    第3部 エッセイ

      小出さんについて憶えていること:村上靖彦
      小出浩之教授の退職に寄せて:鈴木國文
      小出浩之教授の退官に当たって:高橋隆夫