序  文

 本書は,薬物乱用治療の領域に対する重要な貢献である。そして,ひどく苦しんでいるクライエントと協働作業する方法について,伝統的な治療モデルから,より効率的,効果的で,敬意を払うやり方に移行することを熟考している治療プログラムやそのスタッフにとって,特に重要である。
 テリー・ピショーが管理しているのは公的資金によるプログラムで,そこではもっぱら,重篤な診断カテゴリーの疾患や一部の難しい,ときには生命にかかわる問題を持つクライエントのみを扱っている,ということを思い出すのが困難なときがある。テリー・ピショーは驚くべき能力を持っており,それにより,クライエントが初期に示す,多くのカウンセラーの心を遠ざけるような特有の「態度」だけでなく,彼らの問題も見通して,クライエントが自分の生活を軌道に戻すのに役立つ創造性,善意,豊かな資源を明らかにすることができる。クライエントの能力に対する,彼女の楽観的で,希望に満ちた,敬意を示す見方の底には,非常に現実的で実用的かつ強靱なバックボーンがあるが,それは,資金提供元や資格認定団体が説明責任を要求するという現実を処理するために彼女が必要とするものである。彼女は,あらゆる障害を,問題を超えてそれから学ぶための有用な機会に変える方法を知っている。そのようなバックボーン,専門家としての直観,そして英知を身につけるには,長年の人生経験を必要とすると,私はいつも思っていたが,テリーは例外であることを証明してみせた。
 イボンヌ・ドランの優しく,美しく物語を語るスタイルは,もしかするとどこにでもありそうな材料を,魅惑的で生き生きとした物語の本に変えてくれる。いったん読み始めると,私は途中で本をおくことが難しかった。
 この本は,ミラクル・クエスチョン,スケーリング・クエスチョン,コーピング・クエスチョン,例外探しの質問などの,ソリューション・フォーカスト・ブリーフセラピーでなじみの深い道具を含むだけでなく,集団療法セッションの構成方法,スーパービジョンの方法,紹介元との関係作りや共同作業の仕方,さらには問題志向の資格認定団体を満足させるようなセッション記録の書き方に至るまでの,細かい記述をも含んでいる。
 薬物乱用治療プログラムで働く専門家向けに書かれてはいるが,本書は,地域精神保健センター,居住治療プログラム,デイケア施設,学校,社会復帰施設,その他多くの対人サービス提供者やその機関といった,多くの他のプログラムで仕事をしている人々のための有益な資源でもある。私は,本書をプログラム管理者やコンサルタントにも推薦する。

ウィスコンシン州ミルウォーキー   インスー・キム・バーグ