児島達美著

可能性としての心理療法

A5判 250頁 定価(本体3,600円+税) 2008年8月刊


ISBN978-4-7724-1037-3

 本書は,マイケル・ホワイトとほぼ同時に,ナラティヴ・アプローチの先駆となる「外在化」技法を生み出した気鋭の臨床家による,家族療法,ブリーフセラピー,そしてナラティヴへの変遷のなかにある心理療法の真髄を探ったものである。
 私たちは,常に「憂うつ」だったり,「傷ついて」いることが求められる,〈こころ隆盛〉の時代にある。そういう時代にあって,真摯に,誠実に心理療法の可能性を探り,その効果を最大限に引き出し,クライエントの満足を得ることは,心理療法そのものにどっぷりと浸かりながらも,半歩はみだすスタンスが必要になる。著者はそうしたスタンスを保ちつつ,現代社会において変化し続ける心理療法の在り方を先鋭的に論じてきた。本書では,システム論や治療言語論,社会構成主義などを足がかりに,多くのケースを照らし合わせ,心理療法の可能性を模索している。
 世界的にも特筆すべき着眼点を持った著者による渾身の心理療法論集。多くの読者に待望されていた一冊である。

おもな目次

      序 章 「無意識」に関する一試論

    第1部 心理療法の背景――“シンプル”のために

      第1章 心理療法の「枠」は誰が決めるのか
      第2章 心理療法における「問題の外在化」および治療関係の「三項構造化」について
      第3章 システムズアプローチからみた人間関係

    第2部 システムから語りへ

      第4章 臨床心理士による心理学的リエゾン機能について
      第5章 疼痛“体験”としての慢性疼痛――臨床心理士の立場から
      第6章 ブリーフこの10年、そして21世紀へ
      第7章 ブリーフセラピーと内観療法――その共通要因をめぐって

    第3部 事例研究――セラピーのリアル

      第8章 一過食症女子例に対する家族療法的アプローチの試み――父親同席面接をとおして
      第9章 宗教との密接な関連性において解離性障害が示唆された女性例のカウンセリング過程――患者・宗教・治療者の関係を中心に
      第10章 「問題の外在化」による物語の構成について――チームアプローチによる小学校不登校事例の家族面接から

      終 章 関係のドラマツルギー