おわりに

 本書の最後の仕上げにかかっていたこの一カ月ほどの間に,三冊の新刊本が立て続けに筆者のもとに贈られてきた。野村直樹氏の『やさしいベイトソン』(金剛出版),黒沢幸子氏の『タイムマシン心理療法』(日本評論社)それに和田憲明氏の『日曜日のメンタルヘルス相談室』(PHP研究所)である。いずれの著者ともこれまで懇意にさせていただいているし,何よりもそれぞれにあらたな発見があるだろうことは大いに予想できるところなので,すぐにでも読んでみたい思いにかられた。でも,そんなことしてたんじゃ,こちらの方が締め切りに間に合わなくなってしまう。それに下手に読んでしまったら,かえって,自分の本のアラばかりが見えてきてしまうんじゃないか。まったく,こんな忙しい時に……なんてアホな葛藤の中で,それでもやはり誘惑に負けてそれぞれちょいとだけだが覗いてみた。やっぱり,それみたことか,予感的中。
 さて,本書刊行に至るまでには多くの方々のお力をいただいた。まずは,恩師である霜山徳爾先生に心より感謝申し上げる。霜山先生は,筆者が心理臨床家としてまだヨチヨチ状態だった上智大学大学院在籍中,指導教員として厳しくも温かく常に筆者を指導していただいた。ここに格別の思いで本書を捧げたいと思う。
 また,日本家族研究・家族療法学会および日本ブリーフサイコセラピー学会,くわえて日本心身医学会関係の内外の多くの先輩,同輩そして後輩諸氏には心から感謝申し上げる。長崎純心大学人間心理学科・大学院臨床心理学分野の諸先生方および修了生,院生諸氏にも大変お世話になっている。本来であれば,すべての方々のお名前をここであげさせていただきたいところだが,それはとても叶わない。その代表ということで,とくにマイケル・ホイト先生のお名前をあげさせていただくことにする。ホイト先生には,日本で開催した二度のブリーフセラピーに関する国際会議のいずれにおいても大いに汗をかいていただいた。それによって先生の編著を日本の多くの仲間とともに『構成主義的心理療法ハンドブック』(金剛出版)として翻訳出版する機会を得たことは,筆者のこれまでの歩みをより豊かなものにしていただいた。さらに,悲しいかな,昨年相次いでこの世を去られた下坂幸三先生,インスー・キム・バーグとスティーヴ・ディシェーザー先生ご夫妻には本書刊行のご報告をもってあらためてご生前のご厚情への御礼にかえたい。
 ……(後略)

平成20年7月 児島達美