田中康雄著

軽度発達障害
繋がりあって生きる

A5判 312頁 定価(本体3,800円+税) 2008年11月刊


ISBN978-4-7724-1050-2

 彗星のように登場した「軽度発達障害」という言葉は,これまで見過ごされてきた子どもたちの「生きづらさ」を浮かび上がらせ,そして今はもう使われなくなった。
 本書は,そのあいまいで気づかれにくく,しかしだからこそ深刻な「生きづらさ」が表面化した時代に,一人ひとりの子どもたちの内面ににじり寄る想像力と,障害の可能な限りの実証的解明を礎としながらも,視野を広げ,安易な医療化と対処法による割り切りへの反省を携えながら実践を積み重ねてきた児童精神科医の中間報告である。
 発達障害を持つ子どもたちと養育者が紡ぐさまざまな物語を読み解きながら,冷静な診断を目指す知と,生活の場で連携し全人的に繋がりあって生きる社会への情熱を重ね合わせ,子どもたちの希望を支える。教育・福祉と児童精神医学の一つの挑戦。

おもな目次

      序 知性と感性の統合,そして生活の場へ:村瀬嘉代子
      序章 生きづらさをもって生きる

    第Ⅰ部 認めあう

      第1章 軽度発達障害の医療的課題
      第2章 精神遅滞にもっと光を
      第3章 学習障害の多様性
      第4章 注意欠陥多動性障害の明日を信じて
      第5章 広汎性発達障害の内面に向けて
      幕間1 T先生との思い出

    第Ⅱ部 見渡す

      第6章 マルトリートメント
      第7章 いじめと自殺
      第8章 反抗挑戦性障害と行為障害
      第9章 不登校とひきこもり
      第10章 胎児性アルコール・スペクトラム障害
      第11章 大人のADHD
      幕間2 非行が地域を育てる

    第Ⅲ部 支えあう

      第12章 ADHDのある子どもと養育者の生きづらさ
      第13章 ADHDのある子どもたちの,誤解されやすい言動と傷つきやすい心
      第14章 注意欠陥多動性状態の問題と対応
      第15章 反社会的行動を示す子どもたち
      第16章 精神発達から見たひきこもり支援
      第17章 軽度発達障害に対する薬物療法
      第18章 軽度発達障害と10歳の節目
      幕間3 認めあい,支えあって,生きる

    第Ⅳ部 繋がりあう

      第19章 健診と療育の連携
      第20章 児童自立支援施設にある課題と解決の糸口
      第21章 特別支援教育の光と影
      第22章 特別支援教育と児童精神医療の協働
      第23章 エコロジカル成育精神医学に向けて
      幕間4 私がめざす「臨床」
      終章 発達障害のある子どもたちとともに生きる