衣斐哲臣著

子ども相談・資源活用のワザ
児童福祉と家族支援のための心理臨床

A5判 230頁 定価(本体2,800円+税) 2008年12月刊


ISBN978-4-7724-1057-1

 一見不幸を一転幸福に!
 限られた時間,限られたマンパワーのなか,精一杯に子どもや家族への援助をするために必要なのが,資源(リソース)を現場でどう有効活用するか,ということである。……と,わかっていても,現実に何がリソースになるのかは経験を積んでいかないと,なかなかわかりにくいのが現実でしょう。本書は,そうした言葉にしにくい「テクニック」とそこにある「考え方」を,初学者でもわかりやすいように,非行,子ども虐待,不登校,いじめなど子どもと家族が直面する事例を通じて考えるものです。
 著者は,児童相談所の職員として長い経験を持ち,短期療法や家族療法,心理判定などの分野においても優れた実践・報告している援助者の一人。子ども相談の現場では,クライエントが望む「幸福」な状態が援助のゴールではないことも多く,低い治療動機や保護者との軋轢等から困難事例化するケースが少なくありません。著者は,一見不幸を一転幸福にする〈メタ〉な視点と資源活用のワザでこうした事態を切り抜けてきたベテラン臨床家であり,臨床現場を生きる知恵がこの本にぎゅっと詰まっています。
 子ども相談についての多く知見を取り込んだ本書は,心理臨床家,福祉援助職,子どもの問題に取り組む教員,医療関係者など,多くの実践者に必要な一冊となるでしょう。

おもな目次

    第1部 一見不幸を一転幸福に

      第1章 “一見不幸を一転幸福に”変える資源活用のワザ
      第2章 ジョイニング
      第3章 リフレイミング
      第4章 変化を促進する――臨床における「ガチンコ」
      第5章 思春期の社会化と個性化――仲間と自分

    第2部 非行のケース

      第6章 非行ケースの家族支援介入モデル
      第7章 家族交流を創る“将来の非行少女?”――家族支援介入モデルを用いた小学生の非行事例
      第8章 非行ケースの家族療法的介入チャート――児童相談所の一時保護機能の活用

    第3部 子ども虐待のケース

      第9章 子ども虐待ケース対応のポイント――拒否的で援助を求める動機づけの乏しい保護者へのアプローチ
      第10章 親子分離の局面
      第11章 「子どもを叩いてしまう」と訴える母親の支援

    第4部 不登校のケース

      第12章 解決志向型登校支援――不登校の混乱家族ケース
      第13章 不登校ケースの社会化を促す――家族を超えた医療と福祉のラージャーシステムの活用
      第14章 いじめから不登校になった事例

    第5部 その他のケース

      第15章 「試験の時に頭が真っ白になる」と訴えた女子高校生
      第16章 精神科病棟での体験から――怒り・攻撃行動の理解と扱い方