向谷地生良著

統合失調症を持つ人への援助論
人とのつながりを取り戻すために

四六判 244頁 定価(本体2,400円+税) 2008年12月刊


ISBN978-4-7724-1059-5

 人が生きる,現実に暮らすとはどういうことか。精神障害を抱える当事者たちの活動拠点「べてるの家」の設立に関わった著者は,独創的な当事者研究,SSTを取り入れた専門家としての手法,など,クライエントの側からの心理援助で知られている。
 精神医療に必要なのは,当事者の力を前提とした援助である。著者は,真に当事者の利益につながる面接の仕方,支援の方法をわかりやすく解説し,精神障害者への援助の心得を詳述する。
 精神保健福祉士,臨床心理士,福祉,看護の専門職等,心を病む人の援助に関わるすべての人へ。

おもな目次

    序 章 当事者研究が開く世界――自分自身で,共に!

    第一章 精神障害者の生活拠点づくりの中で――べてるから学ぶもの

      はじめに
      一 社会復帰とは――精神障害者との出会いから
      二 地域のために
      三 「悩む力」を取り戻すために
      四 リハビリテーションシステムからコミュニケーションシステムへ
      おわりに

    第二章 生きる苦労を取り戻す――地域における「生きにくさ」と「生きやすさ」と

      はじめに
      一 過疎地から見た「生きにくさ」の構造
      二 「生きづらさ」と「生きやすさ」と
      三 普遍的な課題としての根本的な「生きにくさ」
      おわりに

    第三章 セルフヘルプ・グループの意義と専門家の役割――「無力」と「弱さ」の力の視点から

      はじめに
      一 「セルフヘルプ――自助」とは
      二 SST(生活技能訓練)の導入とSHG活動の活性化
      三 「自助の力」を阻害しない専門家のわきまえ
      四 「リスクの保障」がSHGを育む
      おわりに――「共に弱くあること」からはじまるSHG

    第四章 仲間の力――浦河における精神科リハビリテーションプログラムへの当事者参加の現状と意義

      はじめに
      一 地域の背景と当事者の力
      二 精神科リハビリテーションを支える当事者の力
      三 S・A(Schizophrenics Anonymous)の設立の経過と実際
      四 爆発ミーティングの試み
      五 「仲間の力」と「専門家の力」
      おわりに

    第五章 生活の中での統合失調症の精神療法――当事者の暮らしのツールとしてのSST(生活技能訓練)

      はじめに
      一 精神医療と精神療法
      二 当事者の暮らしのツールとしてのSST
      三 精神療法としての「当事者研究」
      おわりに

    第六章 心理教育をどのように実践するか――「当事者研究」の実践と心理教育

      はじめに
      一 当事者研究とは
      二 当事者研究の構造と展開
      三 当事者研究の可能性と心理教育
      おわりに

    第七章 統合失調症を持つ人への行動支援――認知行動療法的アプローチから

    第八章 地域におけるPSWの役割――精神障害体験者の社会貢献に主眼を置いたPSW実践の経験から

      はじめに
      一 浦河町における当事者の置かれた状況
      二 「関係の危機」への関与という視点
      三 地域の「代弁者としての役割」という視点とそれを活かす実践
      四 地域社会と病院治療への影響
      おわりに

    第九章 精神障害リハビリテーションにおける人材育成――浦河における「当事者スタッフ育成」の歩みと課題

      はじめに
      一 「当事者」論と「当事者」支援
      二 当事者の生きる力を育む関係づくり
      三 スタッフのストレス・マネージメントとコミュニケーションスキルの重要性
      四 当事者スタッフを育む支援のあり方
      おわりに

    第十章 安心して絶望できる人生――向谷地生良×清水里香

    第十一章 人が暮らす,生きるということ――ソーシャルワーカーの“わきまえ”

      ソーシャルワーカーのための五つの『すすめ』,七つの『わきまえ』