あとがき

 学部,大学院で社会心理学(グループ・ダイナミックス)を学んで後,縁あって精神科デイケアで臨床をスタートすることになった筆者は,当時の所長坂口信貴先生(現のぞえ総合心療病院)から力動的な見方を叩き込まれつつ,個人にも集団にも家族にも同時にかかわれたことで,1対1の関係にとどまらない臨床のおもしろさを体験しました。10年あまりを経て大学に移り,学生相談に関与することとなり,間もなく週に1度のペースで学校臨床にも携わるようになりました。個と身近な支援者と支援システムへの注目は,精神科デイケアで培われ,その後の学生相談,学校臨床で明確化してきました。
 この時期,わが国の臨床心理学において個人の内面のみならず周囲の人々との関係性を重視した新しい活動モデルが求められるようになってきていたことは,社会心理学を背景に持つ筆者にとっては幸運なことでした。お一人おひとりのお名前をあげることはできませんが,多くのクライエントの皆さんや文字通り協働したさまざまな職種のスタッフの方々との出会いがなければ,このような発想に辿り着かなかったことは言うにおよびません。学会や研究会などでいただいた貴重なご意見にも大いに触発されました。改めてこの場を借りて深く感謝したいと思います。
 ……(後略)

平成20年3月 桜の季節を待ちながら 窪田由紀