杉原保史著

統合的アプローチによる心理援助
よき実践家を目指して

四六判上製 276頁 定価(本体2,800円+税) 2009年3月刊


ISBN978-4-7724-1069-4

 統合的アプローチは,学派間の相違点と共通性を見極めながらその境界を越え,新たな理論的枠組を切り拓く。援助者が,自分の組する学派では否定されたアプローチに真の援助的な力があることを受け入れ,道を踏み外して邪道=裏街道を歩む感覚を得るとき,この第三の道は援助者の前に姿を現わす。『心理療法の統合を求めて』の著者ポール・ワクテルを導きとして,「科学」「レトリック」「システム論的個人療法」「暗示」「イメージ誘導技法」などの小路を経由しながら解説される〈裏街道へと道を踏み外すプロセス〉は,クライエントの求めに応える真のよき実践家の歩む道へと通じている。

おもな目次

    第一章 学派について考える

      統合的アプローチと学派
      心理療法にとっての学派
      学派とはどういうものか
      クライエントと学派のどちらが大事なのか
      学派とセクト主義

    第二章 心理療法と科学

      心理療法と科学
      心理療法の理論は科学的に立証されているか?
      行動療法は科学か?
      心理療法の実践が科学でないなら―

    第三章 心理療法とレトリック

      心理療法における理論の位置づけ
      レトリックとは
      心理療法におけるレトリックへの注目
      科学の時代におけるレトリック
      レトリシャンとしての心理療法家

    第四章 統合的アプローチとは

      はじめに
      隠された共通性・両立可能性の探究
      さまざまな統合的アプローチ
      おわりに

    第五章 循環的心理力動アプローチについて

      循環的心理力動アプローチが生み出されるまで
      積極的介入
      不安の低減とエクスポージャーの重視
      面接場面における強化の原理への注目
      暗示の作用への注目
      共犯者と悪循環
      皮肉な結末
      欠損してきた学習の促進
      おわりに

    第六章 海外文献紹介三編

      はじめに
      精神分析的心理療法と行動療法との並行治療
      心理力動的行動療法
      つなぎ目のない真の統合に向けて
      おわりに

    第七章 多元的に機能する援助的介入

      問題
      臨床場面におけるエピソードから
      考察

    第八章 心理療法に不可避的に含まれる暗示の側面とその洗練

      統制されない暗示がもたらす害
      ポール・ワクテルの帰属的解釈
      暗示の不可避性,浸透性,重要性

    第九章 古典的な個人心理療法からシステム論的観点を備えた個人心理療法へ

      はじめに
      個人心理療法とシステム論的な視点
      システム論的な観点を備えた個人心理療法のモデル
      他者についての洞察

    第十章 対話的心理療法の中でごく自然にイメージ誘導技法を用いるために

      はじめに
      自然な対話の中でイメージを喚起する
      自然な対話の流れに沿いつつイメージ誘導技法を用いる

    第十一章 よき実践家を目指して

      統合的アプローチと臨床現場
      裏技法
      表街道の心理療法に浸透している文化
      アカデミズム vs 現場
      おわりに

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