デイヴィッド・セジウィック著/織田尚生・老松克博監訳/阿部里美訳

ユングとサールズ

A5判 268頁 定価(本体4,200円+税) 2009年9月刊


ISBN978-4-7724-1091-5

 無意識を探究し,分析心理学の創始者となったユングと,精神分析家として『逆転移』『ノンヒューマン環境論』などの貴重な著作を残すサールズ。本書はこの立場の異なる両者の心理療法について類似点や相違点を細部まで検討し,二つの理論の止揚を図ったものである。
 つまり本書は,単なるユングとサールズの比較研究であるにとどまらないのだ。両者を比較しさらに統合することにより,なぜ,あるいは何が,各種の心理療法に効果を発揮しているのかを探り,癒しに含まれている興味深い共通の「非特異的」要因も見出していく。
 平易な訳文と監訳者による解説「ユングとサールズへのナビゲーション」が,本書への理解を大いに助けてくれる。精神分析,分析心理学を学ぶものだけでなく,領域を超えて心理療法を深めたいもの,人のこころをより深く探究したい読者にとって示唆に富む一冊になるであろう。

おもな目次

    第一章 序  論

    第二章 理論的考察

      人格化された無意識的なもの
      無意識的なものの起源
      主体/客体の問題
      系統発生的な継承
      心理学的な「現実」
      無意識的な力動とコミュニケーション
      両極性
      意識
      selfおよびindividuation
      要約

    第三章 心の病理学

      それは心の病理なのか
      定義
      病理的な諸内容
      防衛
      起源
      退行/進行
      診断
      要約

    第四章 心理療法の過程

      到達目標
      転移/逆転移
      治療環境
      無意識への取り組み
      治療の諸段階
      要約

    第五章 治療者

      技術としての人格
      治療者のスタイル
      治療者の人格
      治療者/クライエント
      要約

    第六章 結  論

      おわりに

      ユングとサールズへのナビゲーション(老松克博)