吉川 悟編

システム論からみた援助組織の協働
組織のメタ・アセスメント

A5判312頁 定価(本体4,200円+税) 2009年9月刊


ISBN978-4-7724-1094-6

 多様な困難を抱えて来談するクライエントを前に,臨床家にはクライエント個人のアセスメントと同時に,既存のさまざまな職種,機関の特性をアセスメントし,クライエントの治療に結び付ける,「即時的な援助組織」構築の専門性・技量が求められている。
 「メタ・アセスメント」とは,システムズアプローチが本領を発揮する人間関係への介入を専門家間,組織間の連携に応用するための視点であり,これまでの連携,チームアプローチへのシステムズアプローチからの回答である。
 本書第1部ではさまざまな組織を組み合わせていくシステムズアプローチ流の連携論,チーム理論が示され,続く第2部,第3部は,それぞれの援助組織,職業的な立場の違いによるアセスメントと実践の「偏り」を網羅し,連携のための基礎資源を提供する。そして第4部では心理援助の専門性を再確認し,個人を対象としたミクロなアセスメントと,複数の援助組織・複数の専門性を俯瞰するマクロなアセスメントを使いこなす視座と実践事例が展開される。
 心理臨床家=こころの専門家が一対一の面接場面から踏み出して,さまざまな現場/機関,職種/立場の実践を理解し,クライエントに応じた効果的な社会的援助組織の組み合わせを構築することで多彩なクライエントに対応する。本書はその技量を向上するためのガイドブックである。

おもな目次

    第1部 臨床現場の違いをアセスメントする

      第1章 現場の違いと求められているもの:吉川 悟
      第2章 システムズアプローチによるアセスメント:吉川 悟
      第3章 臨床現場をアセスメントする:唐津尚子

    第2部 いろいろな現場で求められるアセスメント

      [医療分野]
      第1章 法と社会と当事者・家族の間で考慮すべきこと●精神科病棟:三輪健一
      第2章 診断と見立てをめぐって●精神科クリニック:中野善行
      第3章 多方面からのアセスメントが大切な心身症という病態●心療内科クリニック:町田英世
      第4章 システミックなコンサルテーション●総合病院:渡辺俊之
      第5章 認知症患者本人の声をアセスメントする●高齢者クリニック:藤本直規・奥村典子
      [精神保健福祉分野]
      第6章 市町村におけるこれからの子ども相談とは?●福祉事務所(家庭児童相談):志村浩二
      第7章 施設全体へのアプローチ●児童養護施設:井上博晶
      第8章 個人・社会システムをアセスメントする●児童福祉施設:辻 亨
      第9章 メタポジションに立ったアセスメントおよび支援●児童相談所:衣斐哲臣
      第10章 医療? 保健? 福祉?●精神保健福祉センター:冨岡拓身
      [教育分野]
      第11章 ホケカン臨床における支援の基準●大学保健管理センター:大西 勝・兒山志保美
      第12章 臨床実践プラス育成のアセスメント●大学附属臨床心理相談室:小正浩徳
      [司法分野]
      第13章 家庭裁判所におけるメタ・アセスメントの活用●家庭裁判所調査官:岡本吉生
      第14章 少年鑑別所における収容鑑別●法務技官(心理技官):生島 浩・岩風z子
      [産業分野]
      第15章 会社組織・職場を見立てることの大切さ●事業所内心理相談員:和田憲明

    第3部 立場の違いからみたアセスメント

      [経験値の違いから]
      第1章 多様な現場に参入していく学生の混乱とそのアセスメント■学生:伊東秀章
      第2章 初学者の分かれ道■現場が一つの常勤職・かけもち現場の非常勤職の違い:赤津玲子
      [いくつかの立場から]
      第3章 さまざまな教育相談研修が及ぼす影響■学校教員:村田武司
      第4章 方法論の不明確なアセスメント■ソーシャルワーカー:川畑 隆
      第5章 医療的拘束とアセスメント■医師:本田 徹
      第6章 看護職による家族アセスメントの実際と直面するジレンマ■看護師:渡辺裕子

    第4部 臨床行為とアセスメント

      第1章 心理〈相談〉に固有のアセスメントは存在するか?:児島達美
      第2章 ミクロとしてのアセスメント:滋野井一博
      第3章 マクロとしてのアセスメント:吉川 悟
      第4章 マクロとミクロを使いこなす:メタ・アセスメントを活用した事例を通して:吉川 悟