ナンシー・マックウィリアムズ著/狩野力八郎監訳/妙木浩之他訳

精神分析的心理療法
実践家のための手引き

A5判 384頁 定価(本体5,400円+税) 2009年10月刊


ISBN978-4-7724-1096-0

 現在,米国で最も実力を評価されている精神分析家ナンシー・マックウィリアムズ三冊目の心理療法論の邦訳である。
 本書は,精神分析的心理療法の基礎的理論と技法を,特定の学派に偏することなく,精神分析で得られたさまざまな知見を通して,わかりやすく解説している点が特徴だろう。
 患者と触れあうセラピストが知りたい基本的な事柄,セラピストとしての心構え,聴くこと・話すこと,困った場合の対処法,どのように転移や抵抗を解釈するか,ワーキングスルーをどう行うのか,終結をいつにするか,といった有用な知見が全編にわたって述べられている。
 精神分析プロパーだけではなく,他の療法家や,心理療法を志す多くの人々が読んでも,精神分析の良質な,そしてきわめて臨床的な取扱いが分かるように書かれている点で,マックウィリアムズの本は,他に類を見ない。このうえなく実践的な一冊である。

おもな目次

    第1章 精神分析的治療の定義とは

      背景となる知識
      精神分析と精神分析的治療
      私自身のオリエンテーション

    第2章 精神分析的感性

      好奇心と畏敬
      複雑性
      同一化と共感
      主観性と情動調律
      愛  着
      信  条
      おわりに

    第3章 セラピストの心構え

      初期の懸案事項
      セラピストのためのセラピー
      実践に関するその他の有益な基礎事項
      おわりに

    第4章 クライエントの準備を整えること

      安全性の確立
      治療過程について患者を教育するということ
      おわりに

    第5章 境界Ⅰ:枠組み

      セラピストと境界に関するいくつかの一般的な観察
      特定の境界とその移り変わり
      ノーと言うことのアート
      おわりに

    第6章 基本的な治療プロセス

      耳を傾けること
      話すこと
      治療スタイルに影響するもの
      精神分析的治療と他のアプローチを統合すること
      力と愛

    第7章 境界Ⅱ:困惑させられること

      突発事態,そして多かれ少なかれ悪意のない出来事について
      エナクメント
      自己開示
      身体接触すること
      おわりに

    第8章 モリー

      当初の臨床像
      治療の経過
      終結後の経過

    第9章 ドナ

      当初の臨床像
      治療歴
      終結後の観察

    第10章 精神分析的心理療法の補助的なレッスン

      精神分析的知識について
      情  緒
      発  達
      トラウマとストレス
      親密さと性
      自尊心
      赦しと思いやり

    第11章 職業的な危険要素と満足感

      職業上の危険
      満足感

    第12章 自分を気遣うこと

      イドへのケア
      エゴのケア(自我への気遣い)
      超自我のケア