井原 裕著

精神鑑定の乱用

A5判 200頁 定価(本体3,200円+税) 2010年1月刊


ISBN978-4-7724-1120-2

 「心神喪失者の行為はこれを罰せず,心神耗弱者の行為はその刑を減軽す」(刑法39条)。凶悪事件の場合,被害者感情としては犯人を許せないという気持ちは無視できないが,責任能力のないものを罰しないのは,刑法の基本といえる。このように刑法39条は「乱心者免責」の精神を基底に持っている。しかし,重大事件が起こるたびに犯罪者の責任能力は大きな争点となる。
 本書は,重大事件の精神鑑定を手がけてきた著者による司法臨床現場からの緊急報告である。近年注目を集める広汎性発達障害患者の責任能力にまで論及。裁判員制度の時代における精神鑑定の問題点を明らかにした画期的論考。

おもな目次

    第1章 精神鑑定の乱用
    第2章 謙抑主義の精神鑑定
    第3章 感情障害の精神鑑定
    第4章 パーソナリティ障害の責任能力
    第5章 高機能広汎性発達障害の責任能力
    第6章 英国における精神医学と社会保安
    第7章 森田芳光監督「刑法三九条」を観る
    第8章 精神科臨床における法的パターナリズム
    第9章 精神科臨床における診療録開示
    第10章 カルテ開示のリスクマネジメント
    第11章 個人情報保護と精神科症例研究
    第12章 総合精神医学における適用外処方の倫理