川上正夫著

グループホームの人生模様
認知症としてのきずな

A5判 232頁 定価(本体3,000円+税) 2010年2月刊 


ISBN978-4-7724-1126-4

 現在,認知症高齢者は約215万人にも達し,今後もさらに増え続けることが予想されている。利用可能な老人の入所施設にもさまざまなものがあり,本書に登場するグループホーム「あかね」は,介護保険制度の施行と同時に,“認知症対応型共同生活介護”として立ち上げられた福祉施設である。
 家族に介護が必要になった,しかし家ではとても看ることができない。認知症グループホームとは,認知症の方が,少人数(5〜9人)を単位とした共同住居の形態で,食事の支度や掃除,洗濯などをスタッフとともに共同で行い,そのような家庭的なケアを受ける生活を送ることにより,認知症状の進行を緩やかにし,家庭介護の負担軽減を目指したものである。
 本書に登場する入所者は,認知症による脳萎縮・脳血管障害の進行の過程においても,各々が自分の人生を精一杯に生きたという自負心を持ち続け,今を生きることに懸命に取り組んでいる。著者は,入所者の人生のストーリーを温かい眼で見守りながら,高齢社会における有効なアプローチとして,グループホームにおける介護の実際を詳しく紹介している。

おもな目次

はじめに
登場人物紹介
第1幕 「あかね」に集まる人々のストーリー

    story01 入居者の誰もが一目置いている,姉御肌の今井さん
    story02 食事中の失禁騒ぎ。古刹寺院の奥様,村井さん
    story03 認知症症状からボヤ騒ぎ。元大学教授の岡田さん
    story04 愛する孫からの虐待 高山さん
    story05 グループホームにふさわしい環境は……
    story06 船大工から木造建築へ 職人の意地を!山根さん
    story07 老舗呉服店の大奥様,北原さん
    story08 夫の戦死誤報,子連れ男性との同棲……。戦後の苦労 川瀬さん
    story09 年寄りだって,性へのこだわりがある
    story10 戦友のもとへ行きたがる,野村さん
    story11 長屋住まいが懐かしい,岡崎さん

第2幕 「あかね」をめぐるさまざまな日常

    story12 落ち葉の貼り絵 story13 失語症の村井さんに,筆談で支援の山根さん
    story14 世間体から,大奥様を引き取りたい
    story15 グループホーム入所に際しての規制
    story16 野村さんの失禁,岡田さんの徘徊,そして妻を見舞う
    story17 地域行事“夏祭り”への参加
    story18 お月見に魅せられて。村井さんの失禁
    story19 早朝の電話。高山さんの孫が「あかね」に
    story20 山根さんが緊急入院。でも「あかね」に還りたい!
    story21 グループホームに仏間が造られた
    story22 「地蔵菩薩様」がわたしのすべてだ,真辺さん

おわりに