中村紀子著

ロールシャッハ・テスト講義Ⅰ
基礎篇

A5判 300頁 定価(本体4,200円+税) 2010年月刊



ISBN978-4-7724-1140-0

 「包括システムによるロールシャッハ・テスト」を正しく普及させるため、長年にわたって開かれてきた著者による基礎講座が、ついに書籍化。続篇「解釈篇」へと続く本書「基礎篇」は、ロールシャッハ・テスト誕生秘話、コーディングのちょっとした一工夫、施行のときのチェックポイントなど、ベテランだけが知るテクニックを惜しみなく語った「ゼロからの初心者対象・やさしいロールシャッハ入門」。講座の息づかいをそのままに、オリジナルの資料も多数掲載され、エクスナーによる正典『ロールシャッハ・テスト―包括システムの基礎と解釈の原理』(金剛出版刊)の理解を助けるサブテキスト決定版。
 『ロールシャッハ・テスト』を施行のポイントに応じて読み解いていくには,ロールシャッハ・テストへの深い造詣と確かな素養が求められるが,本書は『ロールシャッハ・テスト』を自在に読みすすめるためのヒントが随所に散りばめられている。『ロールシャッハ・テスト』と本書を絶えず行き来するなかで,ロールシャッハ・テストの基礎知識は,いわば「ロールシャッハ言語」というもうひとつの言葉として,やがて読者の体得するところとなる。

おもな目次

講義1 ロールシャッハ・テストの誕生

    はじめに
    アセスメント,私の場合
    アセスメントの内容,私の場合
    ロールシャッハ・テストを学ぶ―ロールシャッハ言語とは何か?
    イントロダクション―ロールシャッハ・テストの歴史

      ヘルマン・ロールシャッハとオイゲン・ブロイラー/臨床家としてのヘルマン・ロールシャッハ/インク・ブロット誕生秘話/筆で描いた図版)
    ヘルマン・ロールシャッハの後継者たち
      5人の大家/第二次世界大戦とロールシャッハの衰退
    『ロールシャッハ・テスト体系』刊行の軌跡
    ロールシャッハ研究の変遷

講義2 ロールシャッハ・テストを学ぶための基礎知識

    包括システム初期の研究―図版を見せて何をしているのか
    投映が起こる3種類の反応
    知覚のプロセスとしてのロールシャッハ―反応の過程

      潜在的な反応/知覚走査と情報入力/検閲
    ロールシャッハ変数の安定性
      変化しやすい変数/比較的不安定な感情に関する変数/子どもの発達と年齢別のデータ/IQとの関連/問題解決場面としてのロールシャッハ/ロールシャッハ・テストの3本柱

講義3 反応領域・発達水準・組織化活動

    反応領域
      全体反応(W : Wholes)でなければ部分反応(D : Common DetailsまたはDd : Unusual Details)/空白部分反応(S : White Space Details)/空白領域についての最終確認/複数のD領域を用いた場合の反応領域のコード/反応領域についての最終確認
    発達水準(Developmental Quality:DQスコア)
    発達水準の特徴

      発達水準を整理する―v,+,o,v/+/発達水準の高低を測る/DQv/DQ+/DQo/DQv/+/成長過程と発達水準/発達水準の理解を深める/構造一覧表の見方―発達水準を中心として
    組織化活動(Organizational Activity:Zスコア)
      Zスコアを理解する/ZW/ZA/ZD/ZS/図版IIIと図版Xの顔反応についてのZスコアの特別なルール/Zスコアから見えてくるもの/Zスコアの頻度が低い/変化しやすいZfスコア/ZSum,ZEst,Zd/Zdの期待値(±3.0)/オーバー・インコーポレート(情報取り込み過剰)/アンダー・インコーポレート(情報取り込み不足)/ザルで水をすくう

講義4 決定因子I―形態反応と運動反応

    決定因子
    他者の眼から世界を追体験する
    形態反応(Form Response : F)
    運動反応(Movement Responses)

      FM(Animal Movement:動物運動)/M(Human Movement:人間運動)/m(In-animate Movement:無生物)/MとFMとmの区分法/a, p(active-passive:積極と消極の右肩文字)/aとpの識別法1―エネルギー量と重力(mの場合)/aとpの識別法2―ルールで決まっているもの
    運動反応は思考活動を反映する
      M―最も高度な思考活動を反映するもの/白雪姫,青い鳥,虐待サバイバー/FM―欲求を反映するもの/m―ストレスを反映するもの

講義5 決定因子II―有彩色反応と無彩色反応

    有彩色反応(Chromatic Color Responses)を学ぶ
      Cn(Color Naming Response:色彩命名)/体験型―思考と感情(Mの数:重みづけした色彩反応)/FC(Form-Color Response:形態色彩反応),CF(Color-Form Response:色彩形態反応),C(Pure Color Response:純粋色彩反応)
    有彩色反応のコーディングを学ぶ
      CF反応のコード(137)/FC反応のコード
    CとCFのコードの区別
      C反応/C反応がCF反応となる場合
    ステップダウンの原則
    直接的で明白な色彩使用
    ロケーター(locator)
    無彩色反応(Achromatic Color Responses)を学ぶ
    無彩色反応とコードしない場合

講義6 決定因子III―濃淡反応と形態立体反応

    濃淡反応(Shading Responses)を学ぶ
    材質反応(Texture Response)
    T反応の例外
    濃淡立体反応(Shading-Dimensionality Response : Vista)

      図版IXのV反応/濃淡立体反応の解釈法/構造一覧表のなかのV反応を解釈する/V反応と罪悪感や自責感情の関係
    濃淡拡散反応(Diffuse Shading Responses)
    ブレンド反応(Blend Response : (.))
    ブレンド反応・補論
    包括システムのユニークなコード(FD,Fr,rF,(2))を学ぶ
    形態立体反応(Form Dimension Response : FD)
    反射反応(Reflection Responses : Fr, rF)

      形態反射反応(Fr : Form-Reflection Response)と反射形態反応(rF : Reflection-Form Response)/反射反応とセルフ・エスティーム(自尊心・自己価値観)
    ペア反応(Pair Response : 2)
    反射反応と治療計画
    F再論

講義7 形態水準

    形態水準(Form Quality)
      形態水準は何を測っているのか/o(Ordinary:普通)/+(Ordinary-elaborated:普通−詳細)/u(Unusual:稀少)/−(Minus:マイナス)
    補外法
      マイナス反応の正しい見極め方/複数の対象を含んだ反応の形態水準について/形態水準が付かない決定因子

講義8 反応内容・平凡反応

    反応内容(Content)
      H(Human:人間)/Hx(Human experience:人間的体験)/A(Animal:動物)/( )を付けて(H)や(Ad)とする際の注意/An(Anatomy:解剖)/Art(Art:芸術)/Ay(Anthropology:人類学)/Bl(Blood:血液)/Bt(Botany:植物)/Cg(Clothing:衣服)/Cl(Clouds:雲)/Ex(Explosion:爆発)/Fi(Fire:火)/Fd(Food:食物)/Ge(Geography:地理)/Hh(Household:家財道具)/Ls(Landscape:地景)とNa(Nature:自然)/LsとNaと孤立指標/Sc(Science:科学)/Sx(Sex:性)/Xy(X-ray:エックス線写真)/Id(Idiographic:個性記述的反応)
    平凡反応(Popular Responses : P)
    13の平凡反応/平凡反応―比較研究から明かされる出現率

講義9 特殊スコアI―逸脱言語表現と不適切な結合

    特殊スコア(Special Scores)
    3本柱と特殊スコアの前後関係/特殊スコアの概説
    逸脱言語表現(Deviant Verbalizations : DV, DR)

      逸脱言語表現(Deviant Verbalization : DV)/逸脱反応(Deviant Response : DR)/DRのレベル2
    不適切な結合(Inappropriate Combinations)
      不調和な結合(Incongruous Combination : INCOM)/作話的結合(Fabulized Combination : FABCOM)/レベル1とレベル2の区別のない特殊スコア/不適切な論理(Inappropriate Logic : ALOG)/混交反応(Contamination : CONTAM)/識別困難なCONTAM

講義10 特殊スコアII―特殊な反応内容から特殊スコア練習問題

    特殊な反応内容1
      抽象的内容(Abstract Content : AB)/攻撃的な運動(Aggressive Movement : AG)/協力的な運動(Cooperative Movement : COP)/特殊な色彩現象(Special Color Phenomena)/色彩投映(Color Projection : CP)/逆CPについて
    人間表象反応(Human Representational Responses)
      良質(GHR)と貧質(PHR)/データ解析からGHRとPHRを理解する
    特殊な反応内容2
    損傷内容(Morbid Content : MOR)
    個人的な反応(Personalized Answer)
    個人的(Personal : PER)
    固執(Perseveration : PSV)
    特殊スコアのコーディングの難しさ
    特殊スコア練習問題

      問題1/問題2/問題3/問題4/問題5/問題6/問題7

付録

    付録I ノーマル・データ―インターナショナル・データと日本人データ240
    付録II トライアル15
    付録III 構造一覧表と布置記録表

あとがき
文献
事項索引