村上千鶴子著

統合失調症犯罪研究

A5判 224頁 定価(本体4,000円+税) 2010年月刊



ISBN978-4-7724-1141-7

 裁判員制度の実施に伴い,統合失調症犯罪を検討することは,司法精神医学者のみならず,他専門の精神医学者,司法関係者,一般市民にも要請される事態になってきている。
 本書では,統合失調症犯罪における責任能力の判定をより客観的に行うことができるよう,犯行時の病的体験,精神病質素因,論理構造変化,衝動攻撃性などの要因を変数とした精神鑑定の公式を提示する。そして著者は,この標準化によって,鑑定の平明性,公平性が担保され,また,個々の要素を検討することによって犯行についての理解が深められ,より妥当な責任能力判定を導くことができると説く。
 また,統合失調症者に独特な論理構造に着目し,状況の認識能力の低下が行動化に及ぼす影響についての考察も展開している。さらに,ストレス緩和のための方策として気功による介入法を紹介し,病気と病者に対する総合的な理解に向けた著者の姿勢を示す。

おもな目次

はじめに
第T部 統合失調症犯罪における責任能力と犯罪類型,および非触法統合失調症者の認知・攻撃性

    第1章 統合失調症犯罪者における責任能力の予測可能性の検討
      第1節 文献展望―疾病概念,統合失調症犯罪,責任能力の概観
      第2節 精神鑑定事例研究
      文献
    第2章 統合失調症犯罪の類型に関する数量的研究
      第1節 文献展望―統合失調症犯罪に関する類型論の概観
      第2節 精神鑑定事例研究―犯罪生起因の数量化評定による統合失調症犯罪の類型化
      文献
    第3章 個別事例の検
    第4章 非触法統合失調症者の認知・攻撃性の認知心理学的研究
      第1節 文献展望―発生学的認識論,ストレス脆弱性仮説,感情論理,認知研究
      第2節 統合失調症者の認知研究(対照比較研究)―語用論,世界観,心理検査
      文献
    第5章 非触法統合失調症者の認知・攻撃性に関する統合的研究―生化学指標と心理検査指標
      第1節 文献展望―統合失調症の生化学指標と漢方医学
      第2節 統合失調症者の生化学指標と心理・行動指標の研究―語用論・攻撃性を中心として
      文献
    第6章 統合失調症者の攻撃・衝動性制御及び認知改善のための治療的介入研究‐治療的・予防的見地から
      第1節 文献展望―ストレス研究・ストレス軽減研究,介入方策としての気功研究
      第2節 統合失調症者の気功介入研究―ストレス軽減・攻撃性を中心として
      文献
    第7章 全体の総括と今後の展望
      文献
      資料

第U部 関連原著論文

    第1章「分裂病犯罪者における責任能力の予測可能性」
    第2章「Statistical Classification of Criminal Schizophrenics」
    第3章「Pragmatic competence and mood in schizophrenics」
    第4章「Effect of Qigong on Biological indicators and Psychiatric Symptoms of Schizophrenics」
    第5章「統合失調症犯罪者の統計学的ロールシャッハ分析―認知と気分の視点から」

あとがき