小森康永著

緩和ケアと時間
私の考える精神腫瘍学

四六判 224頁 定価(本体2,800円+税) 2010年6月刊


ISBN978-4-7724-1143-1

 年間60万人の人ががんになり,30万の人々がそれで命を失う。がんは,日本人の死因で最も多い病気である。そして,がんの入院患者の多くに心理的援助が必要だと言われる。
 緩和ケア(palliative care;パリアティブ・ケア)とは,生命を脅かす疾患による問題に直面している患者およびその家族のQOL(生活の質)を改善するアプローチである。苦しみを予防したり和らげたりすることでなされるものであり,そのために痛みという身体的問題,心理社会的問題,スピリチュアルな問題の早期発見,的確なアセスメントと治療を行うという方法がとられる。より快適な状態で治療を受けることができるので,生存期間も長くなることが実証されている。本書では,「時間」を臨床概念として導入することで,「緩やかに和す」と,患者の時間感覚に配慮した治療やケアを目指し,さらに終末期に有効なチョチノフ博士の“ディグニティ(尊厳)セラピー”を詳しく紹介している。
 巻末には,著名なグリーフセラピスト,ニーマイヤー教授への喪失と人間の死をめぐる興味深いインタビューを収録した。

おもな目次

まえがき

    序 章 がん・時間・こころ

第一部 緩和時間

    第1章 病名告知
    第2章 インフォームド・コンセント
    第3章 診療限界
    第4章 こころの痛み
    第5章 からだの痛み
    第6章 終末期
    第7章 ホスピス

第二部 緩和空間

    第8章 がんと女性
    第9章 がんと患者家族
    第10章 がんと医療従事者
    第11章 患者と家族と医療従事者
    第12章 ベッドサイド・ミュージック(BSM)

付録1 インタビュー

    1)ニーマイアー教授,喪失を語る
    2)チョチノフ教授,医療に携わる専門家としての心得を語る

付録2 書評

    1)アーヴィン・ヤーロム:太陽をじっと見つめる/死の恐怖を克服する
    2)ウィリアムズ・カーロス・ウィリアムズ(アスフォデルの会訳):ウィリアム・カーロス・ウィリアムズ自叙伝』
    3)フレデリック・タウン・メルゲス:時間と内的未来

付録3 実践文書:緩和ケアチーム通信第一号〜第五号

あとがき