坂本真士著

抑うつと自殺の心理学

A5版 360頁 定価(本体4,600円+税) 2010年11月刊 


ISBN978-4-7724-1166-0

 社会心理学がクライエントにできること――人が生きる社会との関係なくして語れない「抑うつ」と「自殺」という社会現象に対して,心理援助技法としての臨床心理学とその基礎学としての社会心理学には何ができるのか。
 人が日々生活する社会との関係のなかで発生する「自殺」と「抑うつ」について,その社会心理学的アプローチを臨床実践に活かす、臨床心理社会学の試みを学ぶ。自己注目と抑うつの関係,対人関係と抑うつの関係,抑うつの社会的認知度,抑うつと自殺の因果関係,自殺報道が自殺行動に与える影響,自殺予防の実践報告など,社会心理学の基礎研究と臨床実践との境界領域において精錬された、著者のメインテーマの研究と実践をまとめた論文集。真のクライエント支援のための,ふたつの心理学の統合的アプローチ。

おもな目次

    はじめに

    第1章 基礎学としての社会心理学

      1.社会心理学とは
      2.なぜ,社会心理学的な視点か
      3.まとめ

    第2章 抑うつとは

      1.抑うつとは
      2.抑うつの疫学と社会的損失
      3.抑うつの測定
      4.抑うつの実証的な臨床心理学的研究に関する留意点
      5.まとめ

    第3章 抑うつにおける臨床と基礎のインターフェイス

      エビデンス・ベイストをめざして
      1.日本における心理学的な抑うつ研究の特徴―1990年以降の雑誌論文レビュー
      2.心理臨床実践における実証的スタンスについての考察と提言
      3.臨床と基礎のインターフェイス―Beckのうつ病モデルと認知療法

    第4章 抑うつと自己

      1.はじめに
      2.抑うつの自己理論
      3.自己注目と抑うつ
      4.問題点と今後の展望

    第5章 自己に向いた注意の硬着性と抑うつとの関係

      1.はじめに
      2.方法
      3.結果
      4.考察

    第6章 ネガティブな思考や感情のもたらす利得―大学生を対象とした自由記述の分析

      1.はじめに
      2.方法
      2.結果
      4.考察

    第7章 大学生における自己開示の適切性,聞き手の反応の受容性が開示者の抑うつ反応に及ぼす影響―モデルの縦断的検討

      1.はじめに
      2.方法
      3.結果
      4.考察

    第8章 抑うつと対人関係要因の研究―被受容感・被拒絶感尺度の作成と抑うつ的自己認知過程の検討

      1.はじめに
      2.方法
      3.結果
      4.考察

    第9章 精神疾患に対する一般の態度―バリと東京の文化横断研究

      1.はじめに
      2.方法
      3.結果
      4.考察

    第10章 うつ病治療の選好構造―宮崎県内のA町の職員を対象として

      1.はじめに
      2.方法
      3.結果
      4.考察

    第11章 社会心理学的観点から見た自殺の問題

      1.はじめに
      2.社会心理学から見た自殺問題
      3.さいごに

    第12章 報道が自殺行動に及ぼす影響―その展望と考察

      1.はじめに
      2.ニュース報道(新聞やテレビなど)の影響に関する研究
      3.ニュース報道以外の情報源からの影響
      4.介入研究
      5.今後の展望

    第13章 自殺の新聞報道の現状と問題点―「ネット自殺」以降の新聞報道の内容分析を通して

      1.はじめに
      2.方法
      3.結果
      4.考察

    第14章 地域における抑うつと自殺の予防実践と研究

      1.はじめに
      2.国内外における自殺予防活動
      3.名川町での予防活動
      4.まとめ

    第15章 抑うつや自殺念慮を抱える農村部在住の高齢者はどこに援助を求めるか

      1.はじめに
      2.方法
      3.結果
      4.考察

    第16章 地域住民における抑うつ状態とソーシャルサポートの関連―青森県A町における中高年を対象とした住民意識調査から

      1.はじめに
      2.方法
      3.結果
      4.考察

    第17章 大学における抑うつ予防の実践・研究

      1.大学生における抑うつの疫学
      2.大学における抑うつ予防の必要性
      3.アメリカにおける予防的取り組み
      4.日本における予防的取り組み
      5.現状の問題点と今後の展望

    第18章 女子大学生を対象とした抑うつ予防のための心理教育プログラムの検討―抑うつ対処の自己効力感の変容を目指した認知行動的介入

      1.はじめに
      2.方法
      3.結果
      4.考察

    さいごに
    索引