カイラ・ミリヤム・ワイナー編/高橋祥友訳

患者の自殺
セラピストはどう向き合うべきか

四六版 226頁 定価(本体2,800円+税) 2011年2月刊 


ISBN978-4-7724-1182-0

 患者の自殺は「心理療法家にとって最も困難な悲嘆の危機」であるとされてきた。現在臨床現場において,多くのセラピストが患者の自殺を経験している。とくに,うつ病,薬物乱用,統合失調症などの精神疾患患者の治療に当たっているセラピストは患者の自殺を経験する率が高い。 本書では,不幸にして患者の自殺が起きてしまったときに,セラピストにはどのような心理的な反応が生じ,その事態にどのように対応すべきかといった問題に焦点を当て,その後に臨床家がとるべき遺された家族や周囲の人々への心理治療的行為,法的対処について多くの事例を交えて解説されている。また,スーパーバイザーの果たす役割についても詳しく取り上げている。
 希望は自殺よりもさらに大きな力をもつ。患者の生と死に対する願望を明確に評価すること。患者の自殺というセラピストにとっての個人的トラウマ,悲嘆をどのように乗り越えるか,心理療法の核心ともいえるテーマを真っ正面から取り上げた本書は多くのセラピストに読んでいただきたい。

おもな目次

    編者序:専門家といえども生身の人間である/カイラ・ミリヤム・ワイナー
    第1章 予測値を超える:心理療法過程における複数の自殺/ドナ・M・ジェームズ
    第2章 誰が,何を,いつ,どこで,いかに,そして何故? 患者の自殺に対するセラピストの悲嘆/ゲイル・O・アンダーソン
    第3章 私のことを忘れないで:患者の自殺未遂や自殺に関する研修中のセラピストの経験/ジェイソン・S・スピーグルマン,ジェイムズ・L・ワース・ジュニア
    第4章 研修生が患者の自殺を経験した際のスーパーバイザーに対する提言/ドリーン・シュルツ
    第5章 患者の自殺を経験したセラピスト/オニャ・T・グラード,コンラッド・ミシェル
    第6章 心理療法の核心に触れる:患者の自殺を経験する/パム・ライクロフト
    第7章 自殺と法律:精神保健の専門家のための実用的総説/スティーブン・R・フェルドマン,スターチ・H・モリツ,G・アンドリュー・H・ベンジャミン
    訳者あとがき