反省堂書店

患者の自殺 セラピストはどう向き合うべきか
カイラ・ミリヤム・ワイナー/編 高橋祥友/訳
金剛出版
2011年02月発行
販売価格: 2,940円
★4の下

わが国ではこれまで、自殺で家族や同僚・友人を喪った人をターゲットにした著書は何冊か上梓されてきた。しかし、本書は題名のとおり訳書ではあるものの、本邦初の患者を自殺で喪ったセラピストのための書である。なるほど平易かつ文学的な文体だが、患者の自殺を経験したことのある精神保健の専門家でないと理解しがたい深遠な内容だ。患者の自殺がどのようにセラピストに影響を及ぼし立ち直っていくかは、セラピストによって、また症例によって一様でない。しばらく休暇を取るのが有効なセラピストもいれば、仕事を続ける方がよいセラピストもいる。ただ、どのセラピスト・症例にもいえることは、スーパーバイザー、同僚、友人、家族などの積極的な援助が不可欠であることだ。あくまでも評者の個人的な予測だが、わが国の精神科医や心理士は、もっと高率で患者の自殺に遭遇していると思う。なお、邦題は『患者の自殺』ではなく、『クライエントの自殺』とした方がより的確に内容を表せただろう。