生田 孝著

語り・妄想・スキゾフレニア
精神病理学的観点から

A5判 314頁 定価(本体4,500円+税) 2011年3月刊


ISBN978-4-7724-1186-8

 精神病理学とは,異常も含めた精神現象を広い意味で心理学的,認識論的,人間学的,現象学的,存在論的にさらに言うなら哲学的態度で臨床の場において患者との相互作用を通して理解しようとする営為である(本書序文より)。
 生物学的精神医学と精神病理学は,精神医学を支える二本の大きな柱である。本書では,著者が最も学問的関心を寄せる統合失調症の妄想論を中核として,幻聴の臨床研究,昨今の操作的診断に対するアンチテーゼから,ワイツゼッカーの主体概念についての考察など,日常臨床のフィールドを総合病院とする著者の境界的クロスカルチュラルな刺激的論考が展開される。現場からのフィードバックによる精神病理学的理解の深化により治療の場を構造化し,精神療法的面接技術を応用発展させることを目指した試みと言えよう。
 巻末には著者自身による詳細な解題を付した。

おもな目次

1.精神医学・対話・哲学
2.語りからみた心身症
3.家の継承を主題とする女性うつ病者について―奥三河地方における考察
4.統合失調症の妄想における確信の構造―妄想と「反」常識
5.統合失調症における妄想の構造
6.妄想―臨床的側面
7.精神病理学的妄想研究の方法論的基本問題
8.幻聴と共通感覚
9.私的言語から見た統合失調症体験
10.精神医学における直観の意義―「統合失調症性」との関連において
11.ドイツ語圏における精神病理学の最近の動向について
12.マールブルクとブランケンブルク精神病理学―私の留学体験記
13.文献紹介 自明性の喪失―分裂病の現象学
14.脳と心の関係について―精神医学の立場から
15.パッションについて
16.「好意」とは「敵意」なりしか