橋本和明著

非行臨床の技術
実践としての面接・ケース理解・報告

A5判 260頁 定価(本体3,800円+税) 2011年4月刊


ISBN978-4-7724-1192-9

 主観的事実と客観的事実の間,初回面接と終局面接の間,少年と家族の間,加害と被害の間,社会と個人の間,法と心の間で,非行臨床家は何を想い考えてきたのか。

 一対一面接で対応する心理臨床一般に対し,暴力事件や犯罪行為に手を染めた少年を罪状決定・更生措置へと導く非行臨床を,家庭裁判所調査官を長年経験してきた経験した著者が10の技術論とケースレポートによって総括する。審判において動かしがたい犯行事由という「客観的事実」によって裁かれる少年たちは,しかし同時に児童虐待や発達障害による生きづらさという「主観的事実」をも抱えている。本書において特筆すべきは,「主観的事実」という弱く儚い力に触れる,その事実への感応力と親和力にある。
 本篇にあたる10の技術論では,現代の非行少年と家族の特徴をマクロの視点から俯瞰しつつ,非行臨床における面接を,仮説生成・仮説検証,面接構造,事実への接近法,援助方法,報告の書き方とその活用法,そして非行臨床家の訓練の実態にも触れていく。非行臨床と銘打ちながらも,実際の臨床のなかで磨かれてきた技法の数々は,心理臨床にも十分に応用可能なキャパシティともち,非行少年と関わる臨床家一般に資するところが大きい。
 冒頭には村瀬嘉代子の推薦文「聞きながら訊き事実に出会うということ」を,また巻末には非行臨床家が裁判官やその他の援助職と面接内容を伝達する際の拠り所となる「プロセスレコード」を付した,司法臨床の決定的技法論。

おもな目次

    聞きながら訊き事実に出会うということ 村瀬嘉代子
    はじめに
    序章 自分と向き合う技術―非行臨床の出発点としての私
    第1章 視点を入れる技術―非行臨床の意義と最近の動向
    第2章 つかむ技術―現代の非行少年と家族の特徴
    第3章 きく技術―非行臨床における面接
    第4章 仮説検証の技術―仮説生成・仮説検証型の面接
    第5章 構造化の技術―面接の構造と流れ
    第6章 追求する技術―非行臨床における事実への接近
    第7章 かかわる技術―非行臨床における援助
    第8章 つなげる技術T―虐待と非行との関連
    第9章 つなげる技術U―発達障害と非行との関連
    第10章 伝える技術―報告の書き方と活用
    第11章 育てる技術―非行臨床家の訓練
    おわりに