序文

 本書は,関係療法や家族療法のスーパーヴィジョンの入門書である。夫婦家族療法などの実践家への新しい世代の臨床教育者とスーパーヴァイザーに対して知識提供することを目的としている。家族療法のスーパーヴィジョンに関する文献はこの10 年間にいくつか刊行された。しかし,私たちは,本書がさまざまな厳しい臨床現場における統合的臨床実践に焦点をあてたという意味で,この領域での歴史的,画期的なものとなると期待する。今日の家族療法家には,過去の世代の先達がしていたような単一介入モデルを適用しているものはほとんどいない。
 この分野が発展し,臨床の全疾患に家族療法が広く適用されるようになり,さらに公的ヘルスケアの実施に伴い,夫婦家族療法などの実践家に課せる役割や期待が大きく変化した。
 私たちが焦点をあてたのは,それぞれの実践家のレベルに合った一つの統合的スーパーヴィジョン・モデルである。本書は,大学院をはじめ,教育現場や民間養成機関での家族療法コースのスーパーヴィジョンのテキストとして用いられることを期待している。また,本書をAAMFT(American Association forMarriage and Family Therapy : 米国夫婦家族療法学会)認定スーパーヴァイザー候補生のためのワークブックとして用いることもできる。本書は,メンター(指導者)のもとで学びを終了する者に対して,認定申請に必要な基本的指針および実践内容の内省・習得の基盤を提供することを目標とする。
 私たちはこの30 年にわたり夫婦家族療法家を教育し,スーパーヴィジョンを実践してきた。その訓練の場には,開業クリニック,行政の機関,大学院の授業,ワークショップ,研究所が含まれている。これらのどの場所であってもスーパーヴィジョンはAAMFT の要綱に准じて行われている。私たちの教育・訓練に用いたアプローチは,夫婦家族療法の実践上の変化−専門的,理論的,環境的(現場)変化に応じて,進化してきている。

 家族療法分野における変化
 臨床に関わる皆さんの多くは,現在使っているセラピーやスーパーヴィジョンのアプローチが「折衷的な」,あるいは「統合的な」ものであるというだろう。しかし,25 年前の夫婦家族療法の分野では,現在とは異なり,パイオニアとされた主要理論や理論家への忠誠心が求められたのが特徴であった。当時,この分野はどちらかというと,ばらばらでしかも混沌としていた。全米レベルでは,精神保健領域の専門家としての認めを得るための競い合いがあり,一方で,家族療法家の間には,理論や志向(オリエンテーション)の点で内部的分裂があった。統合という概念は,パイオニアたちには受け入れられなかった。まるできょうだい喧嘩のように,互いに自らのアプローチをもっとも効果的でシステム論的である,と主張した。同じようなシステム論的志向であるにもかかわらず,初期のパイオニアたちにとっては,彼らの特定のシステム論的概念を合わせて夫婦家族療法分野全体の統一した共通基盤として認めることが困難であったと思われる。
 家族システム内と同様に,世代間でも信念や価値観は変化してきた。主要理論同士にみられた競り合いも,徐々に「等価性」の考え方を持つようになった。つまり,すべての治療的な道は,癒しへと導かれ,すべてのアプローチは,共通した治療的要素をもつとする考え方である。今日の議論の多くは,治療のジェネリックな側面が取り上げられ,「治療的同盟」「喪失」「ライフサイクル」「アイソモーフィズム」「分化」などの核となる概念を確認することや,エナクトメント,儀式,リフレーミング,ジェノグラムの用い方などの介入方法について証明することが中心となっている。最初に受けた訓練,用いた概念,介入方法がどの学派に属したものであっても,読者の多くは,今では上述の用語や技術を使っているだろう。
 家族に対する治療においてみられるこのような変化に並行して,夫婦家族療法の実践家の数も激増し,臨床環境も拡張された。このような領域の発展と成長が,臨床での実践方法や考え方に独特の影響を与えることになった。読者の多くは,伝統的な一人体制ないしはグループでの開業の場や高度の教育機関での実践をしているだろう。多くの家族療法家は,コミュニティーの精神保健センター,精神科病院,家族サービス機関,児童福祉プログラムで働いている。また,非行少年の入所プログラム,医療機関,宗教法人の家族カウンセリング・サービス,ホスピスに従事しているものもいる。そのほかにも,家族療法家は,アメリカ生まれの市民,移民の一世,二世,他の大陸からの市民に対するプログラムを実践している。ある人々は家庭に出向き家族療法のスーパーヴィジョンを行う。あるいはコミュニティーの中で特定の人々向けの,たとえば,軍の基地,メノナイト派の信者の地域,インディアンの保護区,フモン族やメキシコ人のコミュニティー・センターでも行う。今日,家族療法家はさまざまなクライエントに会う。「異性愛の」人々,同性愛のゲイやレスビアン,両性愛者,性転換を行った人,そしてさまざまな年齢の人々に会う。あなたのクライエントの中にはいろいろな意味で特権階級の人も,そうでない人もいるだろう。
 このような話はまだまだ続けることができるが,皆さんに一番伝えたいことは,家族療法のスーパーヴァイザー,あるいはAAMFT 認定のスーパーヴァイザーを目指している方々がもっている教育体験,キャリア体験,価値観,ニーズを高く評価しているということである。私たちは多くの異なった訓練や多様なコンテクストの中での臨床体験をしてきているので,一つの特定の方法だけが効果的であるとは期待できないことを知っている。伝統的な授業を受けてきた人たちがそこでの授業の講義目標にがっかりしたこと,また自分たちのユニークな体験やストーリーが尊重されたとは感じられなかったという失望体験を語ることがよくある。彼らは自身が何者であるかの定義を語ることから始まり,その後独自の学習目標について語る機会があるようなコラボラティヴな学習体験を望んでいたと語った。彼らは,主要家族療法理論やベスト・スーパーヴァイザーとしての学術的知識の伝承ができる探求の旅を望んでいた。そして旅の終了時には,AAMFT認定スーパーヴァイザーの要件を満たせるものと期待していた。
 したがって,みなさんが本書を読み終えた時には,AAMFT が2002 年に出版した『Approved Supervisor Designation : Standards and Responsibilities』(AAMFT,2002a)に明記された内容の目標を達成していることを望む。皆さんが以下の項目を達成されることが私たちの目指すところである。

 1.スーパーヴィジョンのプロセスにおいて,家族療法の主要な学派が貢献してきた理念上の仮説および実践上の示唆に精通していること
 2.現在用いられているスーパーヴィジョン・モデルと自分に適したセラピーのスタイルから引き出された,あなた自身のスーパーヴィジョ
  ン・モデルを展開させ,明確に述べることができること
 3.スーパーヴァイザー・セラピスト・クライエントの世代間システムの意味を理解したうえで,セラピスト・クライエントと,スーパーヴァ
  イザー・セラピスト・クライエントとの並行した関係を促すこと,セラピスト・クライエントとスーパーヴァイザー・セラピスト・クライ
  エントとの関係にみられる問題を確認し,評価すること
 4.スーパーヴィジョンを構造化し,問題を解決し,スーパーヴィジョンでの介入を,スーパーヴィジョンの様式(ライブかビデオ,個人かグ
  ループ)の範囲で実践できること
 5.文化,ジェンダー,民族的,経済的背景などコンテクストによる変数に敏感であり,スーパーヴィジョンにおける倫理的,法的な問題に精
  通していること
 6.スーパーヴィジョンのスーパーヴィジョンで起こりうる特有の問題に敏感であり,それらの問題を十分に指摘することができること
 7.AAMFT 臨床会員の申請者のためにスーパーヴィジョンの実施要綱と手続きについて熟知していること

 統合の定義
 1970 年代半ばのころ,家族療法学会では参加者に自らが師事する家族療法のパイオニア名,ないしはアプローチ名を問うた。このなかには,院生やその分野のリーダー格の人たちも含まれていた。Bowen,Haley,Minuchin あるいは他のパイオニアについて研究している臨床家も,院生も,それぞれの「モデル」の「ユニークさ」と効果について検討した。今日,アメリカで「共和党か民主党か」を問われることと同じように,当時は,ある特定の狭義のオリエンテーションにのみ忠誠を誓わせるという圧力があった。
 しかし,William C. Nichols (Nichols & Everett, 1986)と共同研究をしていた本書の著者であるCraig は,この分野の中で初期から家族療法の統合的モデルを啓蒙した数少ない研究者のひとりである。この統合モデルでは,家族システムという実体と取り組むことの複雑さを高く評価した。
 私たちがチャレンジしたことは,……特定の学派とか技法にコミットしないで,多様な源から複雑かつ豊富な現象にいたるまでのすべてを理解し,統合することに,情緒的かつ知的な戦いを続けたことにある。私たちがここで紹介する統合的家族療法アプローチは,歴史的,相互作用的,実存的視点のそれぞれの立場を保持しながらも,これら三つを一貫したシステム論的な枠組みとして形成し,研究や臨床に用いることができるようにした。(p.64-65)
 それから二世代が過ぎた。家族療法の分野では素材と認識論の両方の評価が高まり,発展してきた。Nichols, Everett, Feldman, Grunebaum, Gurman, Lebow,Liddle, Pinsof らの声は,理論的な「ネガティブ・スペース」となり,そこから現代の家族療法のイメージが出てきている。これは,Jay Lebow(1997a)が「カップル・セラピーと家族療法における静かな(統合的)改革」と述べたものである。
 最近,臨床環境として,これまで伝統的に行われてきたようなところとは異なる現場が増えて,その多様性から考えると,家族療法家がさまざまな概念や技法をそれぞれの実践に合うように,組み合わせて発展させている事実は驚くべきことではない。しかしながら,そのようなアプローチは「折衷派」と呼ばれ,「さまざまなアプローチの素材が理論的な裏づけなしに,実用本位にケースに合わせて用いられている」(Lebow, 1997a, p.5)。折衷派の臨床家は治療上多くの選択肢に富んでいて柔軟性があり,クライエントからは治療の需要が高く,そして治療の効果がみられる点で好まれている。彼らは多様なアイデアを取り入れているので,ポストモダンの時流の中では宇宙に関する「真なる」一つの考え方を好む人々から隔たりがある。
 このアプローチが一部の臨床家にアピールできることは理解できるが,私たちは,全体を覆う概念的な地図あるいは理論が,家族療法の実践において,また家族療法臨床家訓練において中核をなすものであるということに確信をもっている。
 その地図には私たちが何者で,何を考えるものかについて描かれている。この地図をもつことにより,家族療法の専門家は,知識をつめこんだ道具袋から技法を取り出す技術者よりも,俯瞰した位置に座することができる。統合的な家族療法家として,そしてスーパーヴァイザーとして,私たちはこの地図を使って,その場の心の状態に影響されることなく,社会の現象を理解するために,一貫した方法で決断できるようになる。事実,もっとも折衷的といわれる人の中にも,特定の状況に対して自分の知る道具の中からどれを使うかを決める際に意識しないでそれとなく筋が通る方法をとっているかもしれない。その場合,自分の中に内在化されたモデルを明確にさせ,その根拠や新しい傾向を表示することは重要だと考える。そのようにすることで,これらのモデルは,確固たる意図をもち,形式化されたものへと発展すると思われる。
 統合的なオリエンテーションは第2 章で詳しく述べる。簡潔にいえば,家族療法の統合的なアプローチはシステム論(Lebow, 1997a)を基礎にして,以下の2点を含む。

 1.周辺の理論と実践を取り入れている
 2.歴史的,相互作用的,実存的なデータを統合している

 しかし,家族療法の臨床家とスーパーヴァイザーを教育するという目的では,実際の統合のプロセスはもっと複雑なものである。つまり,臨床家が,機能全般,症候,ダイナミクスを含むトレーニング・システムという大きな絵から,特定の対応,介入を知識に基づき,より狭められた選択をするという方向へと動いていくプロセスである。ここでの概念的,かつ介入のための応用のきくツールとは,関係性の変化,スーパーヴァイザー,セラピスト,クライエントのそれぞれの発達レベル,快適さレベルとスタイル,そして家族の主訴に関する臨床と診断について理解するためのシステムを基礎にしたメタ理論である。一方すべての介入は,高いレベルの継続的教育とトレーニングに基づく集中度の高いアプローチから導き出されたものである。これを質の管理と考える。他方,多くの統合的なアプローチはコラボラティヴであり,また非常に個別化したものである。そこで,統合的なアプローチは,セラピーだけではなく,スーパーヴィジョンにおいても,信頼性の高い,対応可能なものである。

 統合的スーパーヴィジョン
 基本的なモデルのアウトラインを第3章に示してあるが,この統合的モデルの価値は,スーパーヴァイザーが認知と体験の両レベルを以下のようにブレンドして,セラピストを訓練する際の,方向性と資料を提供していることである。

 アセスメントのために
 1.対象家族の観察と体験を通して(理論でいわれる)システム論的なダイナミクスに気づくこと
 2.対象家族の発達段階,構造,プロセス,症候を理解すること
 3.臨床的なダイナミクスの認識を片寄らせることになる,セラピスト自身の個人的な資源,偏見,オリエンテーションを意識すること

 治療に関して
 4.対象家族がもつ資源,バランス(ホメオスタシス),変化の可能性を理解すること
 5.標的とする症候そして/ あるいは家族の構造やプロセスの中で見られる標的とするダイナミクスを確認すること
 6.セラピストが特定の介入を実行するために,自分自身の訓練と経験のレベル,および技法について意識していること
 7.すべてのデータを取りまとめた上で,適切に臨床的な介入を選定すること。

 選定された介入は,構造的,戦略的,原家族,ナラティヴ,体験的な一つあるいは複数のフィードバックを提供するかもしれない。あるいは単にサポートと理解を示す介入となるかもしれない統合的な家族療法のスーパーヴィジョンの産物として,臨床家に次のようなものを期待したい。歴史的,相互作用的,実存的なデータを用いながら,対象家族のダイナミクスについて認知的にも体験的にもシステム論的に理解すること。 そして,さらにこれらのデータをまとめ,それらを統合し,一貫性を保ち,ある程度システム論的な枠組みをアセスメントと治療に取り入れることができること。
 家族とはそれ自体,家族メンバーにとって統合的システムであると私たちは理解する。家族は,家族内だけでなく,家族のもとを物理的に離れた後の発達においても,必要な育成と道案内をする。スーパーヴィジョンは,家族に類似した統合的な環境とプロセスであり,セラピストやスーパーヴァイザーに対して,個人および専門家としての発達のコンテクストのもとに,システム論を臨床実践に混合するスキルを学ぶための育成や道案内を供給するものである。

 本書の目標
 本書は学術的にも臨床的にも役立つものであることを願っている。しかし,同時にスーパーヴァイザーを目指す候補生がリフレクティヴな学びのプロセスを体験し,AAMFT のスタンダードを満たすスーパーヴィジョンのモデルと理念を編み出せるような基本的な要素を,提供したいと考えている。そのために統合的なオリエンテーションに基づいて,実践的,実用的で,しかも親しみやすさを感じるような本となるように,AAMFT のスーパーヴァイザー設定に必要な内容にたどり着くことができるエクササイズを掲載した。
 そのために「ジェネリックな」家族療法のスーパーヴィジョンについてのディスカッションからまず始める。しかしながら,誰が読者で,その人が最終的に何を必要としているかを尊重したいという思いから,読者自身の仕事場のユニークなコンテクストから目を離さないようにする。
 第1章では,読者自身がすでにスーパーヴィジョンをしている,あるいは始めようとしているところであれば,スーパーヴィジョンをスタートするための基本的な考えを探索する。つまり,家族療法スーパーヴィジョンを行うすべての環境で必要とされる基本的なルールと方法を概説する。
 第2章では,家族療法の分野の歴史と発展における統合的なアプローチの役割について,私たちが考える見解を提示する。その後,第3〜6章では実際に用いられる統合的なモデルの理論基盤を示す。そのなかには多世代的な理論,臨床訓練プログラムのダイナミクス,発達理論からスーパーヴィジョン・プロセスをみることの重要性を語り,そして主要な家族療法アプローチのスーパーヴィジョンへの貢献をレビューする。第7〜8章ではスーパーヴィジョンで実際に行われる形態,つまりライブ・スーパーヴィジョン,ビデオによるスーパーヴィジョン,あるいは事例提示法によるスーパーヴィジョンについて,また個人スーパーヴィジョンとグループのスーパーヴィジョンと呼ばれるユニークなフォーマット(様式)について取り上げる。第9章ではセラピー,スーパーヴィジョン,訓練が行われる環境における文化について考えるために,まずは文化の影響をうけている読者自身を注意深く見るようにお願いする。あなたがどのような人であるかがスーパーヴァイザー,セラピスト,クライエントというトレーニング・システム全体に影響を与えるためである。第10章ではスーパーヴィジョンが効果的になるようなリソースを取り上げている研究の成果をレビューし,第11章ではスーパーヴィジョン関係やそのプロセスで起こりがちなトラブルの解決に役立つことを取り上
げる。第12章ではスーパーヴァイザーとして求められるその他の責任をリストアップした上で,果たすべき役割に必要な管理上のツールを一緒に考える。
 第13章では読者がスーパーヴィジョンの消費者の立場からすでに知っていることを発見し,そして自分自身にあったスーパーヴィジョンのモデルと理念を作り上げ,ソリューション・フォーカストのプロセスに沿って歩むように,実際的なアプローチを提示する。これらはダイナミクスな構成概念であり時間とコンテクストにより変化するものであるが,エクササイズを通して概念を作り上げるようスタートを切り,もし読者が望むならば認定を得ることができる! 第14章も家族療法の訓練生の臨床教育をしていくときに通るいくつかのトレーニング「段階」にそって,二人の訓練生との歩みを描く実践的な事例を検討した章である。
 統合的なスーパーヴィジョンが「具体的に」どのように進むかを明示した。最終の第15章ではスーパーヴィジョンのスーパーヴィジョンについて,また家族療法のスーパーヴァイザーという一生かかるプロセスについて取り上げる。
 私たちは現在スーパーヴィジョンが行われている環境において,学識が実際に日々どのように応用されているかについて,読者の皆さんと絶えず対話を創造していくことを目標としている。私たちは自身の長年の経験に基づいた明解な考察と効果的であるモデルを示しながら,読者の皆さんが学びつつ,自分自身のモデルを築き上げることができるようにと,ファシリテーターとしての役割をとっている。もちろん私たちがここで提示している統合的なモデルはあくまで仮定の概念である。その最高の価値は皆さんがどのように用いるかにかかっている。
 本書をとおして,皆さんが体験することは旅路であると私たちは考えている。
 出発点と到達点は一人ひとり異なることであろう。旅路の質は本書の内容と提案にどれほど深く巻き込まれ,深入りするかによるであろう。エクササイズに刺激されながら思いを巡らし,自分自身の考えをまとめていく場合に役立つことを期待している。読者が記録に書き留めてきたメモが,認定スーパーヴァイザーのためのスーパーヴィジョンの理念と事例研究をまとめる時に,役立つように意図している。本書が公的機関やその他コミュニティーの場にいるスーパーヴァイザーにとって実際に使いやすいものであればと願っている。
 本書はAAMFT の推薦を受けたわけではないが,AAMFT 認定スーパーヴィジョン・コース用のテキストとして用いられることを願って書かれたものである。このコースはCOAMFTE(Commission on Accreditation of Marriage andFamily Therapy Education /夫婦家族療法教育認定委員会)の認定を受けている大学院のクラス,プライベートな訓練機関,AAMFT が開催する上級臨床プログラム,またAAMFT の年次大会などで開催されるものである。
 すでに伝えたように,読者に読みやすいように,読者一人ひとりに向けて書くように心がけた。そこで,内容に入る前に,まず私たち自身の略歴と経験を示し,読者が今後スーパーヴィジョンを受ける際に,スーパーヴァイザーのメンター(指導者)についての情報を得ることの必要性を理解してもらえることを願う。