訳者あとがき

 このワークブックは,アメリカの伝統ある依存症治療施設Hazeldenで出版されている“Co-occurring Disorders Series”(重複障害シリーズ)の一冊,“Understanding Dissociative Disorders and Addiction 2nd ed.”(A. Scott Winter著)を翻訳したものです。対象としている読者は,アルコール・薬物依存症と解離性障害の2つの精神障害を持っている,いわゆる重複障害の成人患者さんです。内容は平易で,読み進んでいくうちに,依存症と解離性障害のどちらに関しても基本的な知識が自然と身につくような構成になっています。
 日本でも近年,児童虐待の増加に伴って,解離性障害に対する関心が高まりつつあります。解離性障害の3人に1人は,アルコール・薬物依存症も併発している重複障害患者であると海外では報告されていますが,日本の臨床現場では両者をあわせ持っている重複障害患者に対する関心は未だ十分とは言えない状況です。
 患者さんが過酷な重複障害を抱えながら生きていく上で,本書が一助となり,またそのご家族や,各種援助職の方々にとっても,重複障害を理解し,適切な支援を行っていく上で役に立つことができれば幸いです。