ティル・ワイクス,クレア・リーダー著/松井三枝監訳

統合失調症の認知機能改善療法

A5判 350頁 定価(本体5,000円+税) 2011年7月刊


ISBN978-4-7724-1198-1

 診断確立の時代,クレペリンやブロイラーらによって光を当てられた統合失調症の認知機能障害は,幻聴・妄想といった陽性症状への対処のなかで,「変化しない症状」としてながらく臨床的に省みられることがなかった。精神科医療が地域移行の時代をむかえ,当事者の主体的な生活のためのリハビリテーションが志向される中で,記憶・思考・注意といった認知機能の改善がにわかにクローズアップされてきた。日常生活や就労・就学において必要なのは,一人ひとり固有の希望を実現していくための応用力の改善である。認知機能改善療法(Cognitive Remediation Therapy : CRT)はメタ認知に注目し,個別状況をこえて生活スキルを改善する(スキルの転移)ための包括的なリハビリテーションプログラムであり,良好な治療関係の中で自己効力感と自尊心を回復する心理療法である。さらに認知機能の改善は他のリハビリテーションプログラムの効果と効率にも大きな影響を与える。認知機能とその障害に関する研究を網羅し,改善のための理論モデルと臨床の原則を提示する本書は,メンタルヘルス・サービス従事者にこの新しい領域の詳細な見取り図を与えるだろう。

おもな目次

日本語版への序

第Ⅰ部 治療の発展

    第1章 統合失調症における認知機能改善療法(CRT)の歴史的背景
    第2章 統合失調症における認知機能の概観
    第3章 認知機能障害の説明
    第4章 統合失調症の認知機能障害になぜリハビリテーションを行うのか?

第Ⅱ部 認知過程の改善

    第5章 実験室における認知機能の変化
    第6章 臨床場面における認知機能の変化
    第7章 認知機能の変化がもたらす効果

第Ⅲ部 治療過程

    第8章 認知機能改善療法における理論的モデル
    第9章 認知機能改善療法の内容と過程
    第10章 アセスメントと定式化
    第11章 認知機能改善療法の実践―ケース研究
    第12章 認知機能改善療法の将来

監訳者あとがき