山根 寛著

作業療法の知・技・理

A5判 280頁 定価(本体3,400円+税) 2011年6月刊


ISBN978-4-7724-1200-1

 作業療法は,治療・援助にあたる者と対象者との協同の営みであり,その過程は作業を介したコミュニケーションの成立プロセスといえる。言葉が機能しなくても,ひとは「感じとる」ことができる。
 本書では,そうした作業を介した療法のスピリッツやマインドといえるものを,作業活動の考え方や使い方に関する「知」,作業療法実践のコツにあたる「技」,作業療法のセンスを伝える「理」に分けてまとめた。
 ここに収められた22編は,生活機能に支障がある人に寄り添い,触れあい,援助をしながら,「作業療法とは何か?」を問い続けてきた著者の集大成とも言える。
 「ひとと生活」への関わりを仕事とする方すべてに手にとっていただきたい一冊である。

おもな目次

序にかえて
知の章:作業療法の考え方使い方
発散的意識化を促す描画の利用
作業療法における物の利用―術後歩行困難となった接枝分裂病患者
退行現象を伴う寛解過程における作業活動の力動的観点からみた役割―精神分裂病少女の寛解過程より
作業療法と園芸―現象学的作業分析
植物という命とのかかわり
作業療法と音楽
記憶を呼び戻したピアノの役割―自殺未遂後記憶を失った分裂病患者の場合
技の章:作業療法のかかわり
作業療法過程にみられるダブル・バインド―主体性を損なわない関わりを求めて
「ふれない」ことの治療的意味―汚言に葛藤する患者の対処行動と自己治癒過程より
作業療法における「つたわり」―ことばを超えたコミュニケーション
からだの声に耳を傾けて聴くこころの声―身体化症状によりADL全介助となった少女の回復過程より
幻想と現実の分離・再統合における作業療法の機能―統合失調症性強迫性障害・認知障害の事例より
理の章:作業療法の視点
町の中の小さな畑から―慢性老人分裂病者を支える
分裂病障害にとっての集団と場
パラレルな場(トポス)の利用
「パラレルな場」という治療構造:ひとの集まりの場の治療的利用
コミュニケーションとしての作業・身体
心身統合の喪失と回復―コミュニケーションプロセスとしてみる作業療法の治療機序
作業療法とスピリチュアルケア―作業を通して生活(史)を聴く
泣く・笑う―悲哀の仕事と作業療法
愛しあい,結ぼれ,命を宿し,産み,育てる―障害がある人たちの生活支援をICFの視点から
地域の人々への啓発:気づきと学びの泉「拾円塾」
あとがきにかえて
Index
初出一覧