序論

私たちは自分自身を根本的な奇跡と見なす必要がある。
           ―ヴァージニア・サティア(Virginia Satir)《心理療法家》


 自尊心は,私たちの幸せを決定する唯一の要因ではありませんが,非常に重要な要因の一つです。
 人々に愛されていたコメディアン,故ジョージ・バーンズ(George Burns1984)は,人を幸せにする事柄の大半―健康,結婚,子育て,自重の気持ちなどといったもの―は,自然に転がり込んでくるわけではなく,「少し努力して手に入れなければならない」ものだと言っています。
 自尊心も同じです。自尊心を築き上げるのには,ちょうど畑を手入れするのと同じようにたゆまぬ努力が必要です。本書で紹介しているプログラムは,一日におよそ30分前後を必要とし,かつ125日ほどの期間を要するものです。でもそれほどの努力を注ぐ価値があるものでしょうか? 自尊心が短期的,長期的に心身の健全さにどれだけ大きな効果を及ぼすかを考えれば,これほど価値のある努力はめったにありません。
 あなたがこれから始めようとしているプログラムは,「ストレスと心の健康」というコースの核心部分です。このコースは私が開発し,メリーランド大学で教えていたものですが,受講した18歳から68歳までの受講生の間では,自尊心が高まり,抑うつ,不安,敵意が軽減することがわかりました(Schiraldi and Brown 2001 ; Brown and Schiraldi 2000)。なお,この本で述べられている原理とスキルは成人を対象としたものですが,思春期の少年少女にも同じように適用できますし,少しプログラムを簡素化させれば子どもたちにも適用することが可能です。