津川律子,遠藤裕乃著

初心者のための
臨床心理学研究実践マニュアル(第2版)

A5判 200頁 定価(本体2,600円+税) 2011年10月刊


ISBN978-4-7724-1219-3

 客観的な視点から事例を振り返り,その結果を研究論文として発信することは,クライエントに対する心理援助と同様,臨床家にとって不可欠の仕事である。本書は,臨床心理士や臨床心理学を志す読者に向けて書かれた「研究の進め方と論文の書き方」を解説した好評既刊マニュアルの第2版にあたる。
 事例研究の留意点や統計データの集計法,文献の集め方,クライエントからの事例発表許可の取り方,読みやすい論文の仕上げ方,投稿時の注意点などが詳細に取り上げられる。本書をかたわらに置き,臨床実践についての問題意識さえあれば,初心の研究者からベテラン臨床家まで,堅実な研究論文を書き上げることができるよう配慮されている。また,チェックリストや用語集,ワンポイント・メモなども収録され,初心の研究者への論文指導のマニュアルとしても有用といえる。そして今回の改訂増補にあたって特筆すべきは,倫理規定の改訂などにともない,より高水準のエヴィデンスをたたえた研究論文執筆のためのマニュアルとしてリニューアルされたことが挙げられる。
 臨床と研究の両軸で活躍する二人の著者によって共同執筆された本書は,臨床心理研究のよき道しるべとなろう。

おもな目次

第2版によせて
初版 はじめに
第1章 だれもが研究をするために

    臨床心理学研究が敬遠されるわけ
    なぜ臨床実践を研究するのか?
    臨床実践家にとって研究とは?

第2章 臨床心理学研究の基本

    研究のタイプ
    調査研究(量的研究)
    事例研究(質的研究)

第3章 臨床心理学研究における倫理

    臨床心理学研究で最も大切なこと
    事例の許可の取り方や情報の取り扱い
    調査研究におけるポイント

第4章 研究を進めるための6つのステップ

    第1ステップ:臨床現場で問題意識をあたためる
    第2ステップ:研究情報を収集する
    第3ステップ:研究のタイプを規定する
    第4ステップ:研究計画を立案し,実施する
    第5ステップ:研究結果を分析する
    第6ステップ:研究成果を発表する

第5章 先行研究の読み込み方

    文献検索のコツ
    先行研究の取り寄せ方
    先行研究のまとめ方

第6章 研究発表のスタイル

    第1節 論文作成:調査研究編
      タイトル
      キーワード
      問題と目的
      方法
      結果
      考察
      文献
      要約
    第2節 論文作成:事例研究編
      タイトル
      キーワード
      問題と目的
      事例の概要
      プライバシーの保護
      アセスメントと援助方針
      心理検査の所見
      面接経過
      考察
      要約
    第3節 口頭発表のコツ
      「読ませる文章」と「聞かせる文章」
    第4節 心理臨床における専門用語について

第7章 臨床心理学研究の面白さ

あとがき
付   録

    1 より完成度をあげるためのチェックリスト
    2 研究のための項目索引と用語
    説明
    ワンポイントメモ
      01 初心者向けのお勧め統計本
      02 学会の演題申込要領執筆要領投稿規定をよく読んでおくこと
      03 どこから書き出すか?
      04 明快な文章を心がけること
      05 文献検索の別なやり方
      06 personal communication とは?
      07 まったくの初心者が文献検索する際のコツ
      08 孫引きは避けること
      09 引用の原則
      10 引用文献の書き方の基本
      11 Web 情報新聞を引用したら
      12 クライエントを知らない人に論文を読んでもらおう
      13 ロールシャッハテストの事例研究
      14 略語の用い方
      15 パラグラフ(段落)のまとまりを大切に
      16 副詞接続詞はひらがなで
      17 経過の長い事例をまとめるコツ
      18 「問題と目的」「方法」「結果」「考察」の割合は?
      19 カッコの使い分け
      20 「注」「付記」「謝辞」
      21 原稿を何度も読み直すこと
      22 破格の文にならないこと
      23 論文の長さは原稿用紙で換算すること