はじめに

 本書は,発達障害者に関わるさまざまな対人援助専門職の方々のためのハンドブックである。就学前や学齢期の子どもにとっても,その子どもたちを教室で指導する教師にとっても,今やさまざまな対人援助専門職の人々がすでに深く関わってきている。
 発達障害者への支援は,もはやチームアプローチが当たり前で,支援者を支援する仕組みも充実してきた。
 しかしながら,そのような発達障害に関わるさまざまな対人援助専門職の方々に特化した書物はこれまでなかった。対人援助専門職と言っても,その果たす役割,期待される役割は異なる。したがって,個々の専門職に特有の専門性の違いの把握や,支援を受ける側の学校から見た対人援助専門職による支援の実際をまとめて紹介することの意義は大きいと考えた。
 本書の構成は,大きく,第1部:基礎編,第2部:実践編,第3部:米国編に分かれる。第1部は基礎編で,特別支援教育の理念や基本的な考え,基本的なシステムの構造・内容,発達障害の理解と支援の基本,行動論的アプローチの基本と方法,そして,健康・心理の視点からの支援の在り方を紹介する。続いて,第2部の実践編では,まず,対人援助職ごとに,その役割と支援の実際を紹介する。その後,視点を支援を受ける側に移し,学校の側から見た種々の支援の内容毎に,その実際を紹介する。そして,最後に,第3部の米国編で,米国における対人援助専門職の現状と課題を紹介する。なお巻末に,付録として,各専門職のリストを掲載した。
 本書は,それぞれ専門の異なる4名で編集した。特別支援教育学,臨床心理学,応用行動分析学,そして,保健学・健康学である。そして,種々の多様な対人援助専門職を広くカバーするために,その領域ごとの専門家に多数執筆していただいた。いずれも,その領域の第一人者の方々ばかりである。
 こうしてできあがった本書の読者層としては,何よりも対人援助専門職の方々であるが,そのような専門家から支援を受ける側の学校の関係者にも読みやすいように配慮した。その他,これから対人援助専門職を目指す学生,この分野に関心のある教育学,心理学,福祉学,保健学などの専攻の研究者,学校や自治体に対人援助専門職を配置しようと考えている行政担当者などが想定される。
 このような本書が,少しでも発達障害者の理解が進み,支援者を増やし,より質の高い適切な支援が当たり前になっていくことの一助となれば幸いである。

編者を代表して 柘植雅義