森谷寛之著

コラージュ療法実践の手引き
その起源からアセスメントまで

A5判 232頁 定価(本体3,400円+税) 2012年4月刊


ISBN978-4-7724-1244-5

 コラージュ療法は「持ち運べる箱庭」のコンセプトのもとに1987年に開発された。簡単で適用範囲が広く,奥深い方法で,病院,教育,産業,福祉などさまざまな分野に適用されている。
 本書では,開発者である著者によって,発想のエピソードと発展の歴史,理論的背景,実践活用の方法が述べられ,美術におけるコラージュとの異同についても考察されている。
 特筆すべきは,著者がこれまでの心理臨床経験をまとめあげ,練り上げたアセスメントと解釈についての理論である。対概念を用いた判断軸を設定し,作品から,その「意味方向」と「量」を読み込んでいく手法は,本療法だけではなく,広く心理臨床実践におけるアセスメントを考えるうえで貴重な示唆を与えるものとなるであろう。
 事例もライフサイクルに沿って小学生から思春期・青年期,中年,高齢者までのものが示され,最終章では集大成として,実践事例に即して解説される。
 コラージュ療法を知るためのもっとも基本となる必読書である。

おもな目次

まえがき
第T部 コラージュ療法の成り立ち

    第1章 コラージュ療法の開発の経過
      はじめに
      1-1 研究開発の動機づけ―必要は発明の母
      1-2 着想,仮説―ブレイクスルー
      1-3 心理臨床実践へ―いろいろな技術的困難さ
      1-4 効果の確認―心理臨床実践能力の必要性
      1-5 理論化
      1-6 最初の公式発表
    第2章 コラージュ療法の発想とその理論的背景―砂遊び・箱庭・コラージュ―
      はじめに
      2-1 カルフの『カルフ箱庭療法(原題,『砂遊び』)』
      2-2 河合隼雄編『箱庭療法入門』における「箱庭療法」
      2-3 『トポスの知』による「箱庭療法」
      2-4 森谷の「発想」―「レディ・メイドの組み合わせ」の意味
      2-5 芸術から芸術療法(心理療法)へ
      2-6 「療法」とは
      2-7 患者から生まれた「コラージュ」
      2-8 まとめ―コラージュの複素数分析
    第3章 コラージュ療法の発展の歩み―先行研究と歴史的位置づけ―
      はじめに
      3-1 箱庭療法とコラージュ療法にまつわる歴史年表
      3-2 先行研究について―コラージュ療法以前
      3-3 日本におけるコラージュ療法初期文献
      3-4 海外における初期文献
      3-5 『マガジン・フォト・コラージュ』について
      3-6 解題―MPC法とコラージュ療法
      3-7 コラージュ療法研究の発展
      3-8 普及に伴う困難

第U部 コラージュ療法の実践活用

    第4章 コラージュ療法の実際
      はじめに
      4-1 制作手続き
      4-2 制作における準備
      4-3 切り抜き素材の準備方法
      4-4 切り抜素材の集め方
      4-5 素材として何を集めるか
      4-6 コラージュ制作中の態度
      4-7 コラージュ制作後
      4-8 グループでの制作実習
      4-9 さまざまなアプローチ
    第5章 コラージュ療法のアセスメント
      はじめに
      5-1 箱庭療法のアセスメントの考え方
      5-2 アセスメントの基本的な考え方
      5-3 作品のアセスメント―さまざまな判断軸
      5-4 判断軸の意味について
      5-5 主題によるアセスメント
      5-6 症状のアセスメント
    第6章 コラージュ作品と心理発達課題のテーマ―エリクソンの心理発達図表を軸として―
      はじめに
      6-1 エリクソンの発達理論概要
      6-2 コラージュ作品の発達変化―集計調査のデータから
      6-3 小学生のコラージュ作品
      6-4 思春期―中学生のコラージュ作品
      6-5 ヤングアダルト―20歳代のコラージュ作品
      6-6 働き盛り―成人期のコラージュ作品
      6-7 高齢者のコラージュ作品
      6-8 まとめ―コラージュ作品を貫く「旅」のテーマ
    第7章 コラージュ療法の実践―臨床への適用―
      はじめに
      7-1 不登校のコラージュ療法事例
      7-2 抑うつ神経症のコラージュ療法事例
      まとめ

あとがき