佐藤裕史著

精神現象の宇宙へ
〈こころ〉への知的探究の旅―慶應義塾大学講義

四六判 288頁 定価(本体3,400円+税) 2012年8月刊


ISBN978-4-7724-1260-5

 精神はひとつの宇宙である。本書において著者は,脳の中の小宇宙としての精神のさまざまな側面(こころ・自己・精神・脳)に迫ろうと心理現象の言語表現を中心に野心的な考察を行った。異なった領域からそれぞれの視点,方法論を使った場合に精神をどのようにとらえることができるか,「劇場型社会」としての現代にみられる〈こころ〉の現象を,音楽,絵画,小説,映画等の作品をもとに読み解き,精神現象に対する感受性と理解・共感を深めることを目的とした知的越境者の精神史が展開する。
 さらに他者と社会の出現による,対人関係と社会的自我,現代人の対人的「感応力」の低下,人間関係の指標である感情の病理と感情交流の相互作用にまで考察は及ぶ。精神現象への接近,人と人との織りなす世界,心理的理解と援助のための,知的興奮を伴う,『こころ』の多様な表現を探索する試み。

おもな目次

はじめに 第1講 学ぶことの作用と副作用
第2講 序論「自己・精神・脳」:精神へのさまざまな接近
第3講 近代自然科学における「こころ」
第4講 精神の研究の諸方法論
第5講 主観と客観:心身二元論をめぐって―精神の理解におけるaporia
第6講 「こころ」と文化―「コトバ文化」
第7講 こころとことば―精神現象と言語表象
第8講 創造性・病・自己:病蹟学―表現芸術を通してみた心理現象について
第9講 藝術表現にみる精神現象―感情をとらえる・よみこむ
第10講 「こころの時代」―感情の病理
第11講 音楽表現にみる精神現象:感情をとらえる・よみこむ[続編]―音楽藝術における感情
第12講 食・性・精神
第13講 ライフサイクル/拡散・希薄化する自己とその境界/再び脳へ

おわりに

関連書