まえがき

 発達障害のある人たちは,目に見えてわかる障害ではないためさまざまな誤解を受けています。そのため,子どものときは虐待やいじめの対象となり,その結果不登校やひきこもりを生じ,場合によっては非行に走ることもあります。  そして大人になった段階でも仕事をしない,学校に行かない,職業訓練も受けない,いわゆるニートと言われる人たちに発達障害の人たちが多いとの報告もされています。たとえ就職したとしてもアルバイトやパート,派遣等のフリーターといわれる状況となり,いつまでも正規雇用に至らない人たちも多いのです。たとえ正規就労をしたとしても,仕事と能力にずれがあり,職場の人間関係やコミュニケーションがうまくとれず,離職してしまう人たちも数多くいます。  それらの原因は発達障害の人たちの能力にはばらつきがあり,彼らに合った仕事に従事しておらず,また発達障害という障害がとてもわかりづらいため,一緒に働く同僚や上司が理解できずに,職場内で不協和音が生じてしまうからだと考えられます。 それではどのようにすれば発達障害の人たちがきちんとした仕事につき,社会参加を果たすことができるのでしょうか。 本書では,そのような発達障害の人たちが抱える問題を一つひとつ解決し,見事に彼らの能力を引き出し,彼らの適性に合った仕事に従事させ,意欲的に働くように支援した素晴らしい会社を紹介します。  前著「発達障害の人の就労支援ハンドブック」では,発達障害者の就労支援を行ったさまざまな支援機関による支援内容を紹介しましたが,本書は雇用した企業側からの視点でまとめました。前著と合わせてお読みいただくことにより,発達障害の人の就労支援のあり方をより皆様にご理解していただけるものと思います。