おわりに

 本書の翻訳を思い立ったのは,原書初版が出版された2007 年であった。当時,認知行動療法の実践においても教育においてもケース・フォーミュレーションの重要性を再認識し,そのためのよいテキストを探していた。すでに金剛出版から『認知行動療法ケースフォーミュレーション入門』を翻訳出版していたが,それは行動療法系のケース・フォーミュレーションをまとめたものであり,認知療法系の関連書を探していたときに出版されたのが本書であった。著者はいずれも英国のオックスフォードで活動する臨床心理士であった。私自身,その数年前にオックスフォード大学に客員研究員として滞在し,オックスフォードが英国の認知行動療法の中心であることを知っていたので,迷わず出版直後に本書を購入した。すぐに読み,まさに探していた本であることを確信し,2008 年の私の大学院授業で輪読をした。参加者の評判もよかったので,翻訳をすることにし,参加者に下訳をお願いした(当時の授業の参加メンバーについては,文末に記して感謝する)。下訳が出たのが2009年で,金剛出版にお願いをして版権を取得していただき,私のほうで出版に向けて原稿を整理し,出版の準備が整ったのが2010年であった。
 2010年にはオックスフォード大学臨床心理学コースのSusan Llewelyn教授が私の研究室の客員教授として滞在していたので,彼女を介して第一著者のDavid Westbrook博士と連絡を取り,出版に向けての打ち合わせを開始した。ところが,その時彼が私に言ったのは,「すでに改訂版の原稿を出版社に渡してあるので,改訂版の訳をしたほうが良いかもしれない」ということであった。翌年出版された改訂版を読み,相当の加筆修正がされていることを確認したので,改めて改訂版に基づく翻訳出版をすることにして,新たに改訂版の版権を取得していただいた。
 そして,翻訳にあたっては,私の研究仲間である「これからの臨床心理学研究会」(通称「コレリン研」http://korerin.jp/)のメンバーに協力をお願いした。コレリン研は,私の研究室出身の臨床心理士から構成され,心理職の教育訓練カリキュラムの構築をテーマとした研究会である。その研究会では,今後の心理職の教育訓練において認知行動療法は必須科目であり,そのテキストとして本書が相応しいということになり,私が監訳を担当するということで翻訳に着手した。各メンバーの担当は,下記の通りである。なお,翻訳に向けての研究会の開催などに関しては文部科学省の科学研究費(基盤研究A:課題番号23243073)の支援を受けた。

下山晴彦/第1章
松澤広和/第2章,第4章,第7章
426 認知行動療法臨床ガイド
小堀彩子/第3章,第6章,第11章
石丸径一郎/第5章,第15章,第18章
袴田優子/第8章,第9章,第10章
森田慎一郎/第12章,第13章,第14章
高橋美保/第16章,第17章,第19章

 初版の下訳作成に協力を得た院生および研究生(当時)は下記メンバーである。

綾城初穂/李健實/梅垣佑介/梅澤史子/海老根理絵/鴛渕るわ/倉光洋平/慶野遥香/先光毅士/白木治代/末木新/曽山いづみ/煢ェ昂太/高山由貴/堤亜美/中坪太久郎/永野千恵/西村詩織/野田香織/原直子/原田満里子/広津侑実子/平林恵美/福永宏隆/藤岡勲/藤平敏夫/向後裕美子/藪垣将/八巻絢子/山田哲子/山本渉/吉田沙蘭

 出版にあたっては,版権を2度にわたって取得していただくなど,編集部藤井裕二さんをはじめとして金剛出版の皆様にはたいへんお世話になった。最後に記して感謝したい。

下山晴彦