中野幹三著

統合失調症の精神分析

A5判 224頁 定価(本体4,200円+税) 2013年月刊


ISBN978-4-7724-1283-4

 現代においても,統合失調症の本態解明は依然困難な研究課題である。 本書は,長年精神科診療に携わってきた著者が,統合失調症的パーソナリテイを持つ症例の精神分析的治療経験に基づき構築した,その発生メカニズム仮説を提起している。
 フロイトにとって曖昧であった原初のエロスを,「二重関係性」の観点から捉え直し,心的装置の「無底」を明らかにし,「胎生期からの心身発達理論」を展開している。これは,生物学的研究による胎生期の神経発達障害論,安永浩の「ファントム空間論」,バリントの基底欠損論,ビオンの精神分析理論とも見事に符号する。
 また,著者の豊かな臨床経験からにじみ出る言葉は,精神科全般にわたり,病態の根本的把握,患者の気持ちの理解と受容,心の交流を持つための面接技法などの臨床的知見を提示しており,これからの精神科治療に携わる方々への優れた臨床指導書となるだろう。

おもな目次

まえがき
第1章 胎生期心理学序説
第2章 症例N:ナルシシズム的構造体と精神病的パーソナリティ
第3章 症例Sの前篇:原始的防衛機制
第4章 症例Sの後篇:胎生期の再構成
第5章 統合失調症の精神分析理論
第6章 統合失調症の治療論
第7章 甘え理論の再構築
第8章 ヤスパースの了解心理学批判
第9章 統合失調症の心身問題
第10章 パラノイアの精神分析理論
第11章 神話的思考と精神分析――スサノヲコンプレックス論
あとがきにかえて