ノーマン・サルトリウス著/日本若手精神科医の会(JYPO)訳

アンチスティグマの精神医学
メンタルヘルスへの挑戦

A5版 280頁 定価(本体4,600円+税) 2013年2月刊 


ISBN978-4-7724-1288-9

 ノーマン・サルトリウスは,世界で最も著名かつ影響力のある精神科医の一人である。世界保健機関(WHO)の精神保健部門部長や世界精神医学会会長などを歴任し,現在もジュネーブ大学教授のかたわら、国際アンチスティグマ委員会の顧問でもあり,世界各国の精神医療の発展に奔走している。
 本書に収められたエッセイは,過去の講演録と出版物から著者みずから厳選したものに,著者が最新の見解を加筆したものである。内容は,精神保健サービスの提供・予防に関する痛烈な批判から,臨床における正しい言葉の用い方や仕事の流儀について気軽に楽しめる逸話まで,多岐におよんでいる。また,本書を一貫して今日の精神保健活動の核心に迫る見解が示されている。すなわち,クライアント・ニーズの明確化,一般医療と開発途上国医療という二つの医療分野における精神医学の役割,といったわれわれが現在直面している精神保健の課題である。著者の洗練された知性・誠実さ・科学的バックボーンに彩られた本書は,精神科医療に山積する課題に立ち向かうすべての精神科医の座右の書となるであろう。

おもな目次

    日本語版への序文

    はじめに

    第一部 メンタルヘルス総論

      第1章 一七八九(フランス革命)のアップデート
      第2章 発展に関する三つの定説への疑問
      第3章 重複と混乱――メンタルヘルスの概念――
      第4章 忘れては困る――都市化する地球に必要なメンタルヘルス――
      第5章 モーツァルト効果と克山病
      第6章 精神医学にまつわる矛盾
      第7章 メンタルヘルス関係者への助言について

    第二部 一般医学とメンタルヘルスの関係論

      第8章 プライマリヘルスケアの枠組みと精神医学
      第9章 身体医療現場におけるメンタルヘルスケアの限界
      第10章 メンタルヘルスをめぐるWHO(世界保健機関)の歩み
      第11章 高齢者のメンタルヘルスケアとは何か――今後三〇年は待たされる課題――
      第12章 私の好まない言葉について

    第三部 精神医学およびメンタルヘルスの実践論

      第13章 精神医療現場のニーズ評価
      第14章 精神神経障害はなぜ予防できないのか?
      第15章 精神医学における七つの大罪
      第16章 ブリューゲルの『Everyman』――精神医学書の表紙絵をめぐって――
      第17章 そして五者関係へ――新しい治療関係について――
      第18章 イネーブリング――回復を支えること――
      第19章 発展途上国における精神医学

    あとがき

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書評