はじめに

 本書は,研修医やコメディカル・スタッフが気楽に読み進めて,読み終わったら自然と向精神薬療法の基本知識や精神科薬物療法の「考え方」が身につくことをめざして企画された本です。教科書ではありません。精神科治療薬についてまだ深くは知らない研修医や,臨床心理士,看護師などのコメディカル・スタッフを主な読者対象としております。向精神薬について勉強しておきたい内科など他科の先生がたにもお薦めできます。
 本書は,向精神薬を8 つに大きく分類し,8 回の講義の構成になっています。第1 講−抗精神病薬,第2 講−抗うつ薬,第3講−気分安定薬,第4 講−抗不安薬,第5 講−睡眠薬,第6 講−中枢刺激薬とノルアドレナリン再取り込み阻害薬,第7 講−抗てんかん薬,そして第8 講−漢方薬です。向精神薬はこれで大体網羅されているといってよいでしょう。執筆は,それぞれの分野でのスペシャリストに講義風に書いていただきました。診療で何が大切なのかということから,学会の最新情報まで,実際に役に立つ情報が満載です。
 薬の解説では,有効性と副作用にとどまらず,似たような薬がいくつかある中で実際にどのように使い分ければよいか,適応外使用としてはどのようなものがあるか,精神療法や患者教育など他の治療法を薬物療法にどのように組み入れていくか,といった極めて実際的な側面を解説していただきました。そのほか,薬の発見の歴史,作用メカニズムに関するわかりやすい脳科学的な説明も加えました。
 薬の数は最小限に止め,臨床でよく使われるものを中心に書いていただきました。薬物名より商品名を覚えた方が実際には役立つということもあり,商品名を付記するようにしました。
 また,実際の処方イメージがわくように,症例を呈示していただきました。珍しい症例でなく,ありふれた例について,治療開始から終結までの長期経過を記載していただきました。これを読んでいただければ,薬の作用や副作用の現れ方がよくわかるのではないかと思います。また,長期経過が書かれているため,初期投薬から治療終了に至るまでイメージできるようになるでしょう。また,薬物療法は,精神療法や患者教育と組み合わせることによって一層の効果を発揮します。他の治療法をどのように組み入れていくかについても具体的な症例でわかりやすく解説していただきました。
 本書がこれから薬物療法を学ぼう,基本的なことを知っておこうという研修医やコメディカル・スタッフに役立つことを願ってやみません。本書を読むことによって精神科薬物療法の“技”を磨いていただければ幸いです。

2013年3月
国立精神・神経医療研究センター
功刀 浩


研修医・コメディカルのための精神疾患の薬物療法講義:はじめに

はじめに

 本書は,研修医やコメディカル・スタッフが気楽に読み進めて,読み終わったら自然と向精神薬療法の基本知識や精神科薬物療法の「考え方」が身につくことをめざして企画された本です。教科書ではありません。精神科治療薬についてまだ深くは知らない研修医や,臨床心理士,看護師などのコメディカル・スタッフを主な読者対象としております。向精神薬について勉強しておきたい内科など他科の先生がたにもお薦めできます。
 本書は,向精神薬を8 つに大きく分類し,8 回の講義の構成になっています。第1 講−抗精神病薬,第2 講−抗うつ薬,第3講−気分安定薬,第4 講−抗不安薬,第5 講−睡眠薬,第6 講−中枢刺激薬とノルアドレナリン再取り込み阻害薬,第7 講−抗てんかん薬,そして第8 講−漢方薬です。向精神薬はこれで大体網羅されているといってよいでしょう。執筆は,それぞれの分野でのスペシャリストに講義風に書いていただきました。診療で何が大切なのかということから,学会の最新情報まで,実際に役に立つ情報が満載です。
 薬の解説では,有効性と副作用にとどまらず,似たような薬がいくつかある中で実際にどのように使い分ければよいか,適応外使用としてはどのようなものがあるか,精神療法や患者教育など他の治療法を薬物療法にどのように組み入れていくか,といった極めて実際的な側面を解説していただきました。そのほか,薬の発見の歴史,作用メカニズムに関するわかりやすい脳科学的な説明も加えました。
 薬の数は最小限に止め,臨床でよく使われるものを中心に書いていただきました。薬物名より商品名を覚えた方が実際には役立つということもあり,商品名を付記するようにしました。
 また,実際の処方イメージがわくように,症例を呈示していただきました。珍しい症例でなく,ありふれた例について,治療開始から終結までの長期経過を記載していただきました。これを読んでいただければ,薬の作用や副作用の現れ方がよくわかるのではないかと思います。また,長期経過が書かれているため,初期投薬から治療終了に至るまでイメージできるようになるでしょう。また,薬物療法は,精神療法や患者教育と組み合わせることによって一層の効果を発揮します。他の治療法をどのように組み入れていくかについても具体的な症例でわかりやすく解説していただきました。
 本書がこれから薬物療法を学ぼう,基本的なことを知っておこうという研修医やコメディカル・スタッフに役立つことを願ってやみません。本書を読むことによって精神科薬物療法の“技”を磨いていただければ幸いです。

2013年3月
国立精神・神経医療研究センター
功刀 浩